土岐麻子

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“声のCM女王”土岐麻子が、約1年半ぶりとなる待望のニュー・アルバム『乱反射ガール』を5月26日にリリース!豪華作曲家陣を迎え、土岐麻子の魅力が余すところなく引き出された、バラエティ豊かなアルバムが完成!!


 今作を完成し終えての感想は?

土岐麻子:テーマとしては“アウトドア”を目指して、聴いて内省的になるよりは、“自分を解放する”みたいなイメージで制作をしました。“アウトドア”なんだけど、“プライベート”みたいな。ドライブとか、大勢で聴いてパーッと出かけたりとか、本当の意味でのアウトドアな内容にもなっているんですけど、たとえば、通勤や通学の時間にイヤフォンで聴いても、自分の時間にピッタリきて、なおかつ自分をすごく解放できるようなアルバムになったと思います。

 “夏”や“太陽の光”をイメージさせる作品が多く収録されていますが、“アウトドア”を意識した結果なんですね。

土岐麻子:そうですね。5月リリースということが決まった段階で、“夏のアルバムにしよう”と思って。私自身が夏っていう季節が好きっていうのもありますし、今までオリジナルの作品は、冬のリリースが多かったので、ずっと“夏のアルバム”をつくりたいと思っていたんです。やっぱり季節感を意識することで、作品のカラーも変わるので、“海”や“太陽”、あとは開放的という意味で外に出る“街”という言葉を意識しました。

 “アウトドア”的なものつくろうと思った背景には、昨年リリースされた『VOICE 〜Works Best〜』で、過去の作品を改めて振り返ったことが影響しているんですか?

土岐麻子:それもありますね。自分がどんどん変化していく過程を、『VOICE 〜Works Best〜』をつくった時に、収録されなかった曲も含めて聴き直して、アヴァンギャルドな曲やロックな曲があって、そこに自分の可能性みたいなものを感じたので。だから、今回はサウンド的には、ひと言で言ってしまうと“派手なポップス”にも挑戦してみようと思いましたし。

 そういう意味では、今回たくさんの作曲家の方を迎えていて、バラエティ豊かになっていますよね。

土岐麻子:今回は本当にいろんな曲が集まって。基本的にはずっと一緒に音楽をつくってもらっている川口(大輔)くんと奥田(健介)さんが主軸にありつつ、私の方から声をかけて曲をつくっていただいたり、ストックの中から選ばせていただいたり。あとは、光栄なことに先方の方から「こういう曲はどうですか?」って声をかけていただいて曲が集まりました。

 表題曲の「乱反射ガール」は、どんなところから生まれたんですか?

土岐麻子:この曲は、タイトルが先にあって、そこから制作したんです。川口くんに“乱反射ガール”っていうタイトルで、その言葉がサビにくるような曲をつくってくださいってお願いして。今までそういうつくり方をした曲ってなくて、“乱反射ガール”っていうすごく漠然とした言葉から、“川口くんはどんな印象を受けるのかな?”って楽しみしていたら、イメージにピッタリの曲を書いてくれましたね。

 今までにない曲のつくり方をしようと思ったきっかけは、どんなことだったんですか?

土岐麻子:いつも衣装を貸していただいているYuge(ユージュ)というファッション・ブランドのデザイナーさんに、私が作品をつくる時のモチベーションとなっているルーツがすごく似ている人がいて。弓削さんという方なんですが、今作のアート・ディレクションも手がけていただいていて。以前から“ヴィジュアルと音で何かできたらいいね”っていう話をしていたんですが、去年のユージュの春夏コレクションの時に“乱反射”というテーマでキャッチコピーを考えてほしいと言われて。その“乱反射”っていうのは、「今いろんな情報があふれている中で、それを自分なりに受け止めて、受け止めるだけじゃなくて、そこから乱反射をさせるように、自分からいろんなことを発信する強くて個性のある女性像をイメージしている」っていう説明を受けて、今作のジャケットの背表紙にある“解き放て、乱反射ガール”という言葉を考えたんです。その時は、その言葉から曲をつくることまでは考えていなかったんですけど、段々と“乱反射ガール”っていう言葉自体がいいなと思えてきて。過去を後悔したり、未来に不安を持って、今を見失いがちになってしまうと、過去も浮かばれないし、未来もない。本当に当たり前のことなんですけど、今この一瞬を光のように輝かせて生きている人って素敵だなと思うし、そういう女性に会うと憧れるので、“乱反射ガール”っていう言葉がすごく大切なキーワードになって。音楽も3分とか5分とか、一瞬のものなので、その一瞬の間に光ってほしい、光輝く生き方を目指して、今を大切にする気持ちになってくれたらいいなっていうところから、“乱反射ガール”という言葉を軸に曲をつくろうと思ったんです。

 「鎌倉」は、森山直太朗さんが作曲されていますね。

土岐麻子:直太朗くんとお食事をしている時に、「前につくった曲で歌詞もあるんだけど、土岐さんみたいな声がすごくピッタリくるなと思って、まだ発表していない曲があるんだけど」ってお話を聞かされて、「1度、聴かせてください」って話になったんです。それで届いた曲が、この「鎌倉」だったんですけど、ちょうど去年の夏の終わり頃で、その夏って私が唯一遊びに出かけた場所が“鎌倉”だったんです。それで、“あ、これはもう運命だな”と思って(笑)、歌わせていただくことになりました。

 不思議な縁ですね。

土岐麻子:本当にそうですよね。いただいたデモでは、直太朗くんの弾き語りで、渋い感じというか、いわゆる直太朗節みたいな感じで、そのままアコースティックでやるのもよかったんですけど、昔のユーミンさんやはっぴいえんどみたいな、いわゆる70年代のサウンドにできるなと思って。直太朗くんも同じように思っていたみたいで、「じゃあ、そうしましょう」ってガラッと変わったんです。アレンジをやっていただいた高田 漣さんは、そういう70年代の音楽がマニアックに好きな方で(笑)。だから、今作の中では、一番時代へのオマージュ性が強い曲になりましたね。

 「QUIZ」は、ちょっと不思議な雰囲気を持った作品ですが、この詞のイメージはどんなところから?

土岐麻子:普段あまり電車に乗らないんですけど、たまたま地下鉄に乗っていた時にすごく疲れていて、“椅子に座りたいな”なんて考えていたんです。その時にふと、人のことを思いやったり、マザー・テレサ的な自己犠牲の愛に感動する自分がいるくせに、“早くあそこの席空かないかな”と思っている自分もいて(笑)、その矛盾性が歯がゆくも面白いなと思ったんです。それで携帯にメモをして、“いつか歌にしよう”と温めていて、伊澤(一葉)さんからこの曲をいただいた時に“あ、この曲だな”と感じて、そのテーマを当て込みました。ただ、もっと我慢して犠牲になりなさいって歌っているわけでも、もっと自分にわがままになってもいいよって歌っているわけでもなくて、本当にその矛盾を歌っています。

 「Perfect You」を作曲した和田さん(TRICERATOPS)とは、小学校時代の同級生だとか。

土岐麻子:そうなんです。川口くんと和田くんは小学校の同級生で。前々作の『TALKIN’』を制作した時に、「川口くんとかNONA REEVESのメンバーとか、みんな参加しているのに、自分は同級生なのに参加していなくて寂しい」と言っていたと、人づてに聞いて。その時「頭の中にイメージがあるから今度曲を書くね」とも言ってくれたらしくて、うれしいなとは思っていたんですけど、当時連絡先を知らなくて、そのままになってしまっていたんです。それが去年、私のライヴで和田くんにゲストとして歌ってもらったのをきっかけに、「今回レコーディングもお願いします」って話になって、ようやく実現したんです。その『TALKIN’』の時に考えていた曲を今回形にしてくれたんですが、今回のアルバムにすごくピッタリで。あの時じゃなくて、むしろよかったなみたいな(笑)。

 和田さんとは「HUMAN NATURE」でデュエットもされていますね。

土岐麻子:去年ライヴに出てもらった時に、和田くんがギターを弾いて、2人で歌った曲で、その感じがすごくよかったので、せっかくだから音に残そうよって話になったんです。

 マイケル・ジャクソンの「HUMAN NATURE」を男女のデュエットでカヴァーしているのが、すごく新鮮に感じました。

土岐麻子:確かにあまりないかもしれないですね。“ライヴで2人で歌うとしたら、どの曲ができる?”っていうところでの選曲だったので、特に新鮮さを狙ったわけではないんですけど。この曲をやってデュエットの面白さを感じたので、これからも機会があればやっていきたいです。

 「City Lights Serenade」は、「鎌倉」、「QUIZ」と共に、ワコールのウェブ・ムービーのイメージ・ソングになっていますが、もともと3作を連動させるつもりは、あったんですか?

土岐麻子:それぞれ別々につくった曲なので、私の方で特に意図したものはないですね。ワコールさんのお話は、アルバムの制作が終わってからいただいて、先方に選んでいただいたんです。そうしたら、3曲の内、今作の中でも結構異色だなと思っている2曲、「鎌倉」と「QUIZ」が選ばれて、すごく意外だなと思って。特に「QUIZ」は、私の中で“カオス”っていうイメージだったんですけど、ウェブムービーではすごくさわやかに使っていただいていて。曲からイメージされるものって、人によってさまざまなんだなって本当に思いましたね。でも、私としては、“自分はこういうつもりでつくりました”っていうイメージ通りに聴いてもらうよりも、それこそプライベートに、聴く人それぞれの感覚で聴いてもらいたいので、私の持っていたイメージとはちがう捉え方をしていただけたのは、うれしかったです。

 今作には土岐さん初のDVDが付いていますね。

土岐麻子:去年の赤坂BLITZのライヴ映像を観た時に、ずっとコンスタントにライヴをやっているけど、“ライヴの土岐麻子”っていうイメージが、今まであまりなかったかなと感じて。ライヴにも自分の色がある程度出てきたし、こういうことをやっているんですよっていうのを観てもらって、ライヴに来てもらいたいなと思ったところから、今回DVDをはじめて付けてみました。

 見どころは?

土岐麻子:ライヴの方は、とにかく雰囲気を味わってもらいたいですね。こんな感じでライヴをやっているっていうのを。特にBillboardの方は、編成がちょっと変わっていて、チェロとビオラとヴァイオリンが入って、ベースを入れずに、ドラムとピアノっていうイレギュラーな構成で、アレンジもガラッと変えてやっているんです。そういう自分の楽曲の見せ方とかにもいろいろ挑戦しているので、そこも観てもらいたいですね。それとオフショットは前半にレコーディング風景、後半にPVのメイキングが収録されています。前半は本当に制作に集中していたので、ボサボサなんですよ。全然乱反射していないボサボサガールみたいな(笑)。本当に裏方の顔が映っているんですけど、メイキングになると、一転してちゃんとしたというか、まったくちがうモードの私が映っていて、表の顔と裏の顔の両方が観られると思います。

 リスナーの方には今作をどのように楽しんでもらいたいですか?

土岐麻子:最初に言ったことにまた立ち返る感じですけど、本当にプライベートな感じに聴いてもらえたらなと思っていて。日々生きていく中で、自分にひたる時間ってなかなかないと思うんです。子供の頃のように、自分の思うまま伸び伸びと何かに集中できる時間ってどんどん少なくなっているから、電車での行き帰りで音楽を聴いたりして、自分にひたるって言ったらちょっと変な言い方ですけど、自分の時間を取り戻したいのかなと思っていて。実際私も大好きな曲や、大好きな映画とかドラマのテーマ・ソングを聴いて、その主人公になりきったり、歌詞の世界にひたり込んで、“自分が主役”っていう気持ちになったりして、音楽にはそういう魔法みたいな力があると思うんです。そういう意味で、今回のアルバムは、みなさんのイマジネーションの入り込む余地がすごくたくさん残してあるし、あんまり押し付けがましくなく、どんな風景にも合うようにつくっているので、そういう自分の時間に聴いてもらいたいなと思います。あとは“乱反射したいな”と思っている人に、これを聴いて輝いてほしいなって(笑)。私も乱反射できるように頑張りますので、みなさんも一緒に乱反射しましょう。


INTERVIEW:Shinji Takemura


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コメント (1件):

  1. 土岐さんの歌声大好きです。
    ワコールのウェブCM見ました。
    男なんで見るのが恥ずかしかったですけど(笑)
    土岐さんの歌がピッタリとハマってました。
    続きが早くみたいです!

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