GTS

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L to R:Satoshi Hidaka, GEE, TURBO

日本が世界に誇るハウス・ユニットGTSのデビュー15周年を飾るベスト盤『THE BEST 1996 – 2011』が、3月9日にリリース! デビュー曲「Through The Fire」をはじめとするクラブ・ヒット曲&新曲、あわせて全30曲を2枚のアルバムに収めた15年の集大成!!


 今作は“デビュー15周年”を記念したベスト・アルバムですが、この15年を改めて振り返ってみて、いかがでしたか?

GEE:’95年に結成して、’96年に「Through The Fire」をリリースしたんですけど、その時は本当に記念盤的な感覚で。

TURBO:とりあえず1枚何かつくって、それを部屋に飾ろうみたいな(笑)。

GEE:(笑)。もちろん、たくさん曲をつくったり、DJとして現場に長く立ちたいと思っていたけど、はじまりがそういう軽いノリだったから、ベスト盤を2枚組で、それも選曲に悩むくらい多くの曲を世に送り出せる、とは自分たちでも思っていませんでしたね。そういう意味では、何作もリリースまでつなげてくれたエイベックスやフィーチャリングに参加してくれたアーティストの方々、そして15年間も支えてくれたファンの方々には感謝しています。ロレッタ・ハロウェイ、キャリン・ホワイトといった海外の大御所たちと一緒にやるなんて、夢のまた夢みたいなことも実現できたし、みんなの協力があってこその15年間だったなと、今回選曲をしながら改めて感じました。

TURBO:GEEが言ったように最初はお気楽な感じでスタートしたんですけど、それが15年も続いて、なお現在進行形っていうのが、本当に感慨深くて。それと15年前っていうと、ダンス・ミュージックはまだまだアンダーグラウンドな部分が多かったんですけど、常に現場にたずさわりながら過ごせて、その変遷を目の当たりにできたっていうのは、自分たちが制作する上においてすごくラッキーだったし、恵まれた環境だったなと感じるので、すごくありがたいことだと思います。

 おっしゃるように、この15年でダンス・ミュージック・シーンもかなり様変わりしましたが、現在のシーンには、どんな感想を抱いていますか?

TURBO:5年前に比べると、さすがに勢いが落ちてきたかなとも感じるんですけど、ダンス・ミュージックをつくる層とか、聴いてくれる層が減ったという感じはしないですね。ただ、ビジネスとしてみた場合、ちょっと難しいのかなというのは感じますけど。

GEE:今の日本に“シーン”といえるほどのものはなくなってきていて、地方に行けば行くほど、それが顕著になっているんじゃないかと。実際、昔からシーンに関わっている人と話すと困っているっていう話も聴きますし。クラブに行くお客さんが年代的にひと回りして、30代や40代の人はクラブに行くよりも家で聴いている。で、クラブに行く新たな層がまだ育っていない狭間の時期というか。何を楽しみにしてクラブに行くっていう目的のところで、音楽の比率が減っているような感じがありますね。そこで押しつけてもダメだし、徐々に教えていこうとしているんだけど、若い人が外で遊ばなくなってきているっていうのもあって、なんとかしていかないと将来的には、ダンス・ミュージックを聴く人はいても、ハコに行って踊る人はいなくなっちゃうんじゃないかという不安はあります。

 逆にそうならないために、シーンに期待することは?

GEE:音楽的な手法として、最近ではJポップやロックにも当たり前にように4つ打ちが取り入れられていて、そこにハウスの要素っていうのも入っていっているから、誰かが曲を聴いた時に、自分たちから“ハウスのアーティストです”
って言わなくても、“あ、この4つ打ちはハウスだな”って気付いてもらえるくらい、ハウスのアーティストが増えてくれたらなと思います。実際、そういうアーティストもどんどん出てきているし。

TURBO:つくり手は、むしろ増えているかもしれないですね。今はパソコンで手軽に曲をつくれるし。だから、我々も含めて、そういう人たちの中から、僕たちが「Through The Fire」でドンと出た時みたいに、1曲インパクトのある曲が出てくれば、また面白いことがはじまるんじゃないかなという期待感はあります。

 これまでにもベスト・アルバムという位置づけで3枚の作品(『GREATEST HITS & COVERS』、『CRUSING』、『BEST OF HOUSE COVERS “The Platinum”』)がリリースされていますが、今作の決定的なちがいはどんなところでしょう?

GEE:『CRUSING』はノンストップのミックスCDだったので、DJミックス的な解釈でのベストという感じだったし、『BEST OF HOUSE COVERS “The Platinum”』は、カヴァー曲だけのベストだったので、そういう意味では『GREATEST HITS & COVERS』が我々にとって最初のベストで、今作がそれに続く形ですかね。ただ、15周年ということもあったので、ベストの“Vol.2”という位置づけではなく、15年間のすべてを入れるみたいな感じで。だから、カヴァーの面とオリジナルの面とGTSはいろいろな面を持っているっていうのを示していて、本当に“この15年間の活動の集大成”と言える作品になりました。

TURBO:だから、何よりも選曲が一番大変でしたね。

 選曲する上で、重視したことは?

TURBO:今までフィーチャーしているアーティストの数も多いので、起用させてもらった人たちをいっぱい出すようにとか、カヴァーだけにならないようにとか。とにかくバランス感を重視しながら選んでいきました。

 収録曲のヴォリュームについては、あらかじめ30曲くらいと考えていたんですか?

GEE:エディットして1枚あたり20曲くらいは入るんじゃないかなとも思ったんだけど、あまり短くしてもクラブ・ミュージックの良さが失われてしまうので。そういうところに気をつけながら編集をしていったら、1枚あたり15曲が限界かなと。もともと最低でも15曲は入れたいと思っていたので、そういう意味では、ちょうどよかったかな。

 ヴォーカルをフィーチャーした曲がほとんどを占めていますが、これはあえて意識した部分なんですか?

GEE:意識したというよりは、“ヒット曲”という面で考えると、どうしても歌モノになってしまうので。もちろん、TURBOのつくる音とか、GTSとしての味の部分も入れたかったんだけど、そうすると3枚組になっちゃうっていうのがあって(笑)。それでもビルボード・チャートに入った「Electrify」と、カヴァーだけどみんなによく知られている「Love’s Theme」は、インストだけど入れています。

 今作にはLIL(リル)さんを迎えた新曲も収録されていますね。

GEE:これは昨年末から今年の頭にかけてつくった曲で。今までは、相手がメロディを書く人でも、メロディはこっちである程度つくって、詞を向こうに書いてもらって歌うっていう形だったんだけど、今回は“フィーチャリング”じゃなくて“VS”という形にしようかっていうくらいLILとメロディやアレンジのやり取りをしていて、本当に“コラボレーション”っていう感じでつくりましたね。この15年でもはじめてじゃないかな、そういうつくり方は。だから、新鮮ですごく面白かったです。

 制作する上で重視したことは?

GEE:お互い4つ打ちを得意とするっていうところがあるけど、やっぱりちがう部分もあって。LILはよりエレクトロなところがあるけど、我々はそうではないので、どっちに寄ってしまっても、コラボレーションにならないから、GTSのカラーとLILのカラーをうまくバランスをとるように意識しました。

 改めて今作を聴いてみて、どんな感想を持ちましたか?

GEE:一番に思ったのは、“たくさんやってきたな”って。それと15年前の曲も入っているんだけど、意外と古くないというか。そういう意味で言うと、音楽もひと回りした感じがあって。そこがダンス・ミュージックのすごさであり、カヴァー曲で言えばオリジナルの持っているパワーはやっぱりすごいんだなっていうのを感じますね。

TURBO:1曲1曲バラバラに聴くと年代感が出てくるんだけど、全体を通して聴くと本当に年代を感じさせないのが驚きでしたね。あとは自画自賛するわけじゃないですけど、よくもこれだけのカヴァー曲を集めたなと(笑)。ここれに収録されているのが、すべてじゃないですから。良い曲をカヴァーさせてもらえたなという実感があります。

 リスナーには、どのように聴いてもらいたいですか?

TURBO:「Through The Fire」からはじまった我々の生き様を聴いてください(笑)。さっきも言ったように、今でもアレンジが年代を感じさせないし、良い曲ばかり入っているので、改めてGTSを振り返って聴いて、認知してもらいたいです。

GEE:今作は、集大成でもあるけれど、今まで聴いたことない人でも聴ける入門編みたいなところもあって。たぶん、これがGTSの曲だっていうのを知らなくても、聴いたことのある曲が結構あると思います。最初の頃から僕らが目指しているのは、アングラなことをメジャーでやるのではなくて、アングラやコアな部分を通っている僕らが、メジャーに対してどうアプローチできるかっていうことで、15年間ブレずにやってきたことの成果が詰まった、すごく聴きやすいって思ってもらえる作品だと思うので、そういう風に聴いてもらいたいですね。

 “15周年”というひとつの区切りを迎えましたが、これからはどんなことを?

GEE:今まで我々は洋楽っていう感じでやってきたんですけど、さっきも言ったように今のJポップ・シーンにハウスが当たり前のように取り入れられているので、洋楽とか邦楽っていう垣根を取り払った中でやってみたいと思っていて。邦楽的なアプローチや、今回のLILみたいに日本のアーティストとコラボやフィーチャーを英語じゃなくても、もっとトライしてみたいなと。制作はこれから取りかかるんですが、今年の秋にそういう構想のアルバムを出す予定なので、それまで今作を聴いて、楽しみに待っていてください。はじめて聴く人でも聴きやすいと思いますし、アルバム全部持っているようなGTSをずっと支えてくれている人も、改めて流れでベストを聴くのもいいんじゃないかなと思うので、ぜひチェックしてください。

TURBO:おかげさまで15周年を迎えることができました。応援してくれているみなさまには感謝しています。今回のこのアルバムには、お馴染みの曲、聴きやすい曲がぎっしりと詰まっていますので、ぜひ聴いてみてください。そしてこれからも応援よろしくお願いします。


INTERVIEW:Shinji Takemura


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