beat freak|エイベックスの無料音楽情報「ビートフリーク」 » ふ http://www.beatfreak.jp beat freak|エイベックスの無料音楽情報「ビートフリーク」 Fri, 15 Jul 2011 08:00:47 +0000 http://wordpress.org/?v=2.8.6 ja hourly 1 古内東子 http://www.beatfreak.jp/interview/7128/ http://www.beatfreak.jp/interview/7128/#comments Fri, 12 Mar 2010 16:37:05 +0000 webmaster http://www.beatfreak.jp/?p=7128 『PURPLE』をリリース! ]]> 01_FuruuchiToko_610350

リアルでストレートな恋愛観、そして恋愛の普遍性を描き続ける古内東子が、3月3日、恋に落ちている時の“バラ色の感情”と相手を思う“ブルーな感情”を表現したニュー・アルバム『PURPLE』をリリース!


 3月3日に約1年半ぶりとなるニュー・アルバム『PURPLE』がリリースされますが、このタイトルに込めた思いを教えてください。

古内東子:本当になんとなくなんですが、『PURPLE』というタイトルがひらめいたんです。色から想像させられる手が届かない感じとか、大人の雰囲気とか、時に官能的だったり、高貴だったり、パープルという色が持っている複雑なイメージや響きがいつも気になっていたからだと思うんです。タイトルを決めてから曲を書いていったんですが、今回はとくにリレーションシップというか、男女の関係性を歌った曲が多いんです。出会いとか別れというよりは、恋に落ちている時のバラ色の気持ちだったり、距離を縮めたあとのブルーな感情だったりを書いているので、両方が混ざり合ってはじめて恋愛なんじゃないかなという意味も込めて、“PURPLE”なのかなと思って。

 今作の収録曲を聴いて、“恋愛って普遍的なもの”とあらためて感じさせられました。

古内東子:自分自身、もちろん大人にはなってきているんですけども、決してどんどん成熟していっているわけではなくて、恋愛に関してもわからないことだらけです。人を好きになる思いというのは消えていくものではないし、今のところまだまだ探求中という感じですね。

 今作に関しては“等身大の古内東子”という部分を強く感じたんですが。

古内東子:曲に実年齢が追いついてきたというか(笑)。自分ではいつも等身大だと思っているんですけれども、やっぱりデビュー当時は「えぇ? ハタチなんですか!?」みたいなことをすごく言われました。背伸びして書いていたつもりはなかったけど、大人になりたいとか、大人へのあこがれというのは今と比べるとあったのかもしれません。昔の曲と今の曲でそんなにギャップがないのは、背伸びをしていたからなのかもしれないですね。

 1曲目の「LOVE SONGS」、2曲目の「PURPLE」からは、そういった古内さんの世界観がバッと伝わってきました。と今作の世界観が見事に融合していて、一気にテーマに飛び込むような印象を受けました。

古内東子:「LOVE SONGS」という曲は、ちょっと変わった目線の歌で、シンガー・ソング・ライターの私が書いているという印象を受けると思うんですよね。私が私として書いているというか、それこそ等身大じゃないですけども。今回のアルバムを引っ張ってもらう曲でもあると思ったので、早い段階で1曲目にしたいなって。あと、ライヴで先行してワン・コーラスだけ歌ってたりもしたので、それを聴いてくれた人たちが、“あの歌だ”と思ってくれればいいなというのもありました。「PURPLE」はアルバムのタイトルにしていることもあって、全体のテーマを言い表しているというか。おっしゃる通り、「LOVE SONGS」と「PURPLE」には、これまでの世界観と今作の世界観のふたつがあるのかなと思うんです。だから、この2曲を最初に持ってきたというのはありますね。

 その「PURPLE」という曲は、どのような思いで書いていったのですか?

古内東子:もう「PURPLE」という曲をつくると決めてから書きました。普段は曲のタイトルを最後に決めたりすることが多くて、何かテーマがあってそれについて掘り下げて書くということはあんまりないんですよ。ただ、今回はアルバムのタイトル曲というのもあったし、「PURPLE」という曲を書きたいと思ったから、もう本当「PURPLE、PURPLE……」と思って書きました。とにかく複雑な色というのがあって、中間色のようなイメージがあったから、まずその中間ってなんだろうって考えて。感情だけで書いたというよりは、自分の中で頭を使ったところもちょっと多かったですね。

 4曲目の「映画を観よう」はポップなサウンドの中に、“楽しさ”、“切なさ”、“強さ”、“弱さ”という様々な感情が混ざり合った作品ですね。

古内東子:タイトル通り、何気なくおウチで一緒に映画を観るとか、そういう一場面です。とくに、知り合って間もなかったり、関係を構築していく間においては、いろいろなところが見えたりすると思うんです。たぶん映画館の暗い中で隣同士で観ているよりも、いろいろなことが見えるんじゃないかなって。リラックスしているのもあるし、まさにいろいろな感情が入り交じった曲ですね。おウチで映画を観るということが、相手のことをもっと知りたかったり、涙を見たかったり、距離を縮めていくというひとつのアイテムなのかなって。今はいい映画館ができてすごく快適なんですけども、席が広くなって快適になるほど距離は遠くなっていくというか。そんな矛盾を思って書いたりもしました。

 6曲目の「涙」は♪隠さない しまわない♪というリリックに強い決意を感じます。

古内東子:曲調もそうですし、思いの強さというか、迫り来るような意思の強さみたいなものを感じてもらえるかなと思います。取り方はいろいろだと思うんですけど、静かに熱い曲なんですよね(笑)。言葉がすごくシンプルで、置くようにメロディもあるので、強い曲になったかなと思います。

 9曲目の「Boyfriend」はリリックを後押しするようなサウンドと随所に散りばめられたクラップ音が特徴的ですが、どういったところからアイデアが浮かんできたんですか?

古内東子:自分でデモをしっかりつくってたんですけれども、なんかいろいろ探っているうちに(笑)。「PURPLE」とか「Boyfriend」とかは、わりと私のアレンジがそのまま生かされています。たとえば、「Boyfriend」の場合は、作曲の時点でもうクラップ音が鳴ってた。歌詞の世界観は今回のアルバムの中で唯一何もはじまってない男女の歌なんだけども、その緊張感をサウンドでも伝えたいなって思いました。

 10曲目の「スロウビート」はKREVAさんとのコラボレーション作品ですが、この作品が今作に与えた影響などはありますか?

古内東子:「スロウビート」は、河野さんにアレンジで参加してもらったんですけども、今までは作詞して作曲して、あとはプロにやってもらおうみたいな考えだったんです。けれど、曲をつくって、しかもサウンドが頭に浮かんでいるのであれば、それをちゃんと伝えようって思うようになりました。そこまで責任を持ってやる楽しさを教えてもらったかなと思います。でも、全然やってないんですけどね(笑)。KREVA君は、“曲をつくった人のサウンドなんだから伝えたほうが一番いいのに”みたいなことはいつも言ってくれていて。だから、この曲では“こうしてほしい”、“ここは変えないでほしい”ということをちゃんと言えたかなと思いますね。

 12曲目の「太陽」はライヴの最後に聴きたくなるような曲ですね。

古内東子:私、そういうのはあんまり考えてないんですよね(笑)。ライヴは弾き語りでやることがすごく多くて、毎回アルバムとは曲順を変えざるを得ない感じなので。これを必ず最後に歌いますという曲は特にないんです。どっちかというと、アルバムの最後に置いてみて、はじめてライヴの最後がいいのかなと思わせる曲かもしれませんね。

 このアルバム全体で、“未来”を予感させる作品になりましたね。

古内東子:未来をすごく感じさせるんだけど、底抜けに明るくないこの感じが私らしいかな(笑)。なんでしょうね。誰しもハッピーエンドがいいと思うんですけど、歌詞やサウンド、メロディのバランスで切なくなってしまうという。そのバランスかなと思います。全部が明るいとなんかちょっと恥ずかしいところがあって(笑)。じんわり感じる未来、じんわり感じる幸せが、私らしいかなと自分でも思うんですけど。

 今作をどのように楽しんでほしいですか?

古内東子:いろいろなことを思って、いろいろな相手が鏡になって、自分のことがわかったり、成長していったり、自分や相手のいいところ、悪いところが見えていったり、人との距離を少しずつ縮めていく中での、いろいろな感情を歌っているので、このアルバムを聴きながら、自分の気持ちや相手との関係を深めていってほしいです。

 全体的に女性目線の曲になっているかと思いますが、男性リスナーにはどんなことを感じ取ってほしいですか?

古内東子:たまたま私は女性なので女性目線ですけど、女にしかわからない気持ちというのは今回そんなにないと思います。それはもしかしたら時代のせいもあるのかもしれないですけど、男性だって傷つくし、女性が傷つけることもある。男性が女性を癒してあげる場面もあるでしょうし、その逆もある。そうやって考えると、一人称は女性、私っていう言葉ですけど、垣根を取り払って聴いてもらえると思うんですよね。

 DVDには「PURPLE」のミュージック・ビデオが収録されていますが、こちらはどんな内容になっていますか?

古内東子:わりとイメージ・ビデオですね(笑)。最初オフショット的なところからから入って、そのまま本編に入っていく感じです。

 今年、新たに挑戦してみたいことなどはありますか?

古内東子:ライヴに関しては、やったことがない場所でやってみたいですね。あんまり野外とかはやったことがないので、日暮れ時のいいシチュエーションとか。夏の暑い日にガンガンというのはないかもしれないですけど。いろいろな場所があると思うので、みんながやっているところでなくても構わないし。あとはいろいろな出会いがあればいいかなと思います。

 最後にファンへのメッセージをお願いします。

古内東子:さほど間が空かずにもう1枚できました。私自身は大人ならではの作品だとはそれほど思ってないので、ぜひ酸いも甘いもかみわけた大人の方だけでなく、かみわけ中(笑)の若い方にも聴いてほしいです。


INTERVIEW:Hiroyasu Wakana, Atsushi Saneshige


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BRIGHT http://www.beatfreak.jp/interview/5592/ http://www.beatfreak.jp/interview/5592/#comments Tue, 16 Feb 2010 12:52:14 +0000 webmaster http://www.beatfreak.jp/?p=5592 『Real』を2月24日にリリース! タイトル通り、今の4人の“リアル”な気持ちが詰め込まれたこのアルバムと3月に開催が決定したワンマン・ライヴへの意気込みを直撃!!]]> 01:BRIGHT350610
L to R:MEG, MI-MI, NANAKA, NAGI


幼なじみの4人で結成されたコーラス・グループBRIGHTが、セカンド・アルバ『Real』を2月24日にリリース! タイトル通り、今の4人の“リアル”な気持ちが詰め込まれたこのアルバムと3月に開催が決定したワンマン・ライヴへの意気込みを直撃!!


 まずは今作『Real』を完成し終えての感想を聞かせてください。

NAGI:今作はテーマを設けていなくて、曲もこのアルバムのためというよりも、デビューからお世話になっているプロデューサーの方たちと、もう一歩踏み込んだものをつくりたいというところからつくっていったんです。だから、1曲1曲に目を向けた時に、すごく振り幅も広くなっているし、つくった時に率直に感じている気持ちを曲にしたから、“Real”な歌詞が詰まったアルバムになったなと思っています。

NANAKA:この4人が全員10代なのは、このアルバムが最後で、その一番定まっていない時期というか、子供と大人の中間な感じの曲。たとえば、高校生の純な恋愛の曲や、そこよりちょっと大人ぶった気持ちの曲が入っていて、そういうのを全部“Real”に詰め込んだので、このタイトルになりました。

 1年前にリリースしたデビュー・アルバム『Notes 4 You』と比較してみて、どんなところが一番変わったと思いますか?

MEG:1年目は土台をつくって、2年目に入った時に自分たちの可能性を広げられたらなと、いろいろなことに挑戦してきたので、それらが全部詰まっていると思います。特にダンス・ナンバーは大きく変わっていて、「Shining Butterfly」のエレクトロな感じは、新しいBRIGHTだなと思います。

 多くの方がプロデューサーとして参加されているのも特徴的ですが、曲の方向性はどのように決めていったんですか?

NAGI:今まで一緒にやってきた方たちと、この人とはこういうダンス・ナンバーを、この人とはこういうバラードをという感じで決めていきました。

MI-MI:たとえば7曲目の「Dance With You」はU-Key zoneさんにお願いしているんですが、今までU-Keyさんとはバラード系が多くて。4人ともずっとU-Keyさんのアップ・テンポな曲をやりたいなって、言っていたんです。それで今回お願いして。そうしたら「interlude」もつくってくださったんですが、それを聴いた瞬間、4人ともめっちゃテンションが上がりましたね(笑)。

 1月28日からレコチョクで先行配信されている「キライ…でも好き 〜アイシテル〜」は、タイトルを公募した曲ですが、タイトルを公募した経緯というのは?

NAGI:友達の彼氏を好きになってしまった人の気持ちとか、そういうのって誰にも相談できないじゃないですか。そういうなかなか言えない気持ちを歌詞にしようってなって。ただ、歌詞で悩み過ぎた分、タイトルを決める時もその流れを引きずって、“もっといいのあるんちゃう?”って感じになって、わからなくなってしまったんですよね(笑)。

MEG:この曲はとにかく早く聴いてもらいたいという思いがあって、タイトルが決まらないまま、レコーディングが終わってから1週間後にはライヴで歌いはじめていたんです。そうしたら、聴いてくれたファンの人も泣いてくれたりして、みんなもこの曲に対して思い入れが深くなっているなら、ファンのみんなと一緒に考えようってことで、タイトルを応募したんです。

 報われない恋をする、すごく切ない内容ですが、聴きどころは?

NANAKA:学校とかで友達と恋バナをするんですけど、この歌詞のように友達の恋人や好きになっても無理な人を好きになってしまって、悲しんでいる子が結構いて。それって学生だけじゃなくて、幅広い人にも刺さるんじゃないかなと思います。実際に、学校の先生がラジオで流れているのを聴いて、“すごくいい曲だったよ”って言ってくれて。30代の人にそう言ってもらえたのが、すごくうれしかったですね。

NAGI:歌割も凝っていて、自分たちで話し合って決めていて。ミュージック・ビデオも撮っているんですが、そのミュージック・ビデオに出てくる友達の彼氏を好きになってしまった女の子を4人で演じてるっていうイメージになっています。

 「I Know」は、今までのBRIGHTにはない、新しい曲ですよね。

MI-MI:ちょっとブラックなイメージがあって、すごく大人っぽい曲ですよね。テーマが“不倫”というか“浮気”だし(笑)。

MEG:前作の『Notes 4 You』に「You Were Mine」っていう“恋愛のどん底”がテーマの曲があったんですけど、この「I Know」を聴いた時に、それに続く第2弾みたいなイメージが浮かんだので、こういう歌詞になりました。

NAGI:ちょっとした遊び要素というか、今までの曲は恋愛に対してまっすぐな感じの曲がほとんどだったので、アクセントになるような曲も入れたいなというところもありますね。

 「Secret」は、かなりアップ・テンポでノリがよく、ライヴ映えしそうな曲ですが、もうライヴでは披露しているんですか?

MEG:この曲はまだなんですけど、今ちょうどワンマンに向けて、振りの練習をしている真っ最中です。この曲も「Dance With Us」も、聴いて楽しんでもらうのもそうなんですけど、みんなの前でダンスと合わせて観てもらって、はじめて完成できるんじゃないかなと思う、楽しみな曲ですね。

 そのワンマン・ライヴは3月に開催されますが、意気込みは?

MEG:今回はキャパも広くなったので、広いステージでみなさんをどう楽しませるか、ステージの見せ方も考えていて。曲でも新しいことに挑戦したので、そういったステージの見せ方やダンスでも新しいことに挑戦して、新しいBRIGHTを見せたいと思います。

NAGI:みんなが一緒にいる空間は、学校や仕事の悩みを全部忘れて、みんなで笑顔になれる場所にしたいと思っているので、みんなにもこの『Real』を覚えてきてもらって、一緒に歌ったり、踊ったりして盛り上がりたいです。今回のアルバムには、夢に向かってどうしたらいいかとか、不安に思っている子に、そういう揺れている感情は自分だけじゃないんだよって伝えたいアルバムで。私たちも含めてお互いに支えていけたらいいなと思っています。なので、ぜひ聴いてもらって、“ひとりじゃないんだ”ということを感じてください。


INTERVIEW:Shinji Takemura


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FPM http://www.beatfreak.jp/interview/2748/ http://www.beatfreak.jp/interview/2748/#comments Fri, 15 Jan 2010 03:18:58 +0000 webmaster http://www.beatfreak.jp/?p=2748 『FPM』をリリース! 大人でおしゃれでかっこいいエレクトロの最先端を体感してほしい。]]> 01 FPM


デビュー15周年を迎えるFPM=田中知之が、12月23日、3年10ヵ月ぶりとなるニュー・アルバム『FPM』をリリース! 大人でおしゃれでかっこいいエレクトロの最先端を体感してほしい。


00年代最後の年にニュー・アルバムがリリースされますが、00年代の音楽シーンを振り返ってみてどんな10年だったと思いますか?

FPM:00年代がどんな時代だったのかがわかるのはもう少し後なのかなって思いながらも、やっぱり個人の時代だったんじゃないかなって。たとえば携帯電話やパソコンの発展だったり、音楽を聴く環境だったり、すべてにおいてすごくパーソナルな方向に向かったのはまちがいないですよね。また、ブログだったりMySpaceだったり、個人がそれぞれのメディア機能を持って、プロモーションしていくようになったじゃないですか。そう考えるとメディアが流行を先導すること自体が難しくなってきているんじゃないかなって思いますね。

個人が象徴される中で、作品をつくっていく難しさはあった?

FPM:CDの売り上げを音楽配信ダウンロードの売り上げが超えたとか、いろいろなところでマーケットの変化みたいなものがあったと思うんです。音楽の買い方にしてもアルバムの中で好きな曲だけ選んで購入したりね。そんな買い方が一般的になってきていると思うんですが、それって音楽本来の楽しみ方をすごくせばめているような気がするんですよ。もしかしたらそれっておじさん的な発言なのかもしれないですけど、だからこそアルバムの完成度を逆に上げたいなって気持ちが制作当初からありましたね。やっぱりアルバムっていうのは映画と一緒で、ひとつのシーンを見ただけでは何も伝わらないと思うんです。アルバムの醍醐味は全体の流れだと思うし、僕は作品としてそれを再提示したいなって気持ちになりましたね。

時代の流れとともに、FPMのエレクトロも進化した?

FPM:どうなんだろうね。エレクトロってダンス・ミュージックの一部だと思うし、パンク・バンドをはじめるような若者がコンピュータを手に入れて、初期衝動のもとにつくり上げた音楽だとも思うし。そういう初期衝動で動かされる若者は、僕たちが見てもまぶしいし、いい意味で影響を受けますよね。僕は昨日/今日で音楽をはじめたわけじゃないですから、当然、今の若者が考えつくような、ルールを無視したような斬新でエキセントリックな音づくりにも興味を持ったけど、今作に関してはさらに僕の好きなアナログの芳醇な音などを欲張って取り入れたいなって。それもレコーディングの途中で思ったんです。もちろん、ダンス・ミュージックって時代と添い寝をするというか、それが宿命でもあって醍醐味でもあるんだけど、そういった進化がないと途端につまらなくなると思うんです。その一方では、何か簡単に消費されてしまうという悲しい宿命もあるんですけどね。でも、僕は単に消費されるだけの音楽をつくるつもりもないし、最先端のものを取り入れた上で、ポップスとしての普遍性みたいなものも同時に手に入れたいなって。欲張りな考えをもって、アルバムないしトラックの制作にのぞんでましたね。

ジャケット・デザインの“耳”に込めた意味は?

FPM:音楽は耳から入るものですからね。何かそういった意味でシンプルかつ強いイメージのジャケット・デザインがほしかったので、ストレートに“耳”にしました。ビートルズの『ザ・ビートルズ』というアルバムを“ホワイト・アルバム”と呼ぶように、このアルバムもFPMの『FPM』ですから“耳”とか“耳ジャケ”の愛称で呼ばれたら面白いですよね。

タイトルには『FPM』とありますが、そもそもFantastic Plastic MachineをFPMに変えた理由は?

FPM:それはYellow Magic OrchestraがYMOになったようなもので、改名というわけではなく愛称で呼んでもらいたいなって。だから、そんなに大きな気持ちの変化はないですね。

今作は全体を通して“大人でおしゃれでかっこいい”印象が強いですよね。

FPM:そうですね。今のダンス・ミュージック=エレクトロって、いい意味でのバカっぽさが全面に出ていると思うんです。でも、それを僕が踏襲するのはちょっとちがうかなって。大人向けのダンス・ミュージックって、“やさしい”イメージがあると思うんですが、決してそんなことはないと思うし、若いダンス・クリエイターがつくった楽曲には負けない強さもあるし。自分は43も歳を重ねた人間ですからね。DJとして少なからず現場を踏んできた部分もあるので、そういった部分では大人なサウンドを追求できたと思います。

1曲目の「If You Do,I Do(威風堂々)」は、“お前がやるなら俺もやる”と言わんばかりのポップでダンサブルなサウンドが特徴的ですが、どんなインスピレーションをもとに制作していったんですか?

FPM:これはUNIQLOのUNIQLO CALENDARという企画がきっかけでつくった曲なんですが、同時にアルバムをつくり出す時にオープニング・ナンバーがほしいなって。それで自分のDJの出囃子にもなって、全世界の老若男女が知っているような大ネタを表現しようと思ってトライしました。

2曲目の新曲「Without You」はライヴでも披露されている楽曲ですが、いつ頃制作されたんですか?

FPM:これはravexでご一緒したMONKEY MAJIKをフィーチャーした作品ですが、何かMONKEYとやりたいなっていうイメージがある中で、突発的にでき上がった曲なんです。この作品に関しては考えてもつくれるようなトラックではなくて、本当に天からの授かり物だと思っていて。本来は70年代のディスコのサンプリングを乗っけながら、それに歌とかリズム・トラックを乗せてつくっていたんですね。そうしたらすごくいい歌メロとリズム・トラックができてしまって、そのサンプリングは必要なくなって抜いちゃったんです。これはもうラッキーみたいな(笑)。それをMONKEYの2人が感じ取ってくれて、非常にいい歌を聴かせてくれましたね。本当に感謝してます。

エレクトロ全開というより、爽やかな感じですよね。

FPM:そうですね。ただ、やっぱり細かいキックの部分であったり、ちょっとしたアレンジは、ソフトなもので包まれているのでわからないと思いますが、フロアでは結構凶暴になると思うんです。そういった意味では、昨今のダンス・ミュージックと比べても決して負けるものじゃないなって。当然、ポップスとして楽しんでもらえるポテンシャルはあると思うんですが、影を潜めた凶暴性みたいなギミックもあるので、そこにも注目してほしいですね。

8曲目の「Sex」はFPMのセンスを感じさせる遊び心満載の楽曲ですね。

FPM:これはヴィジョネアというNYの企画ブックで、世界中のアーティストが1分間の曲をつくるという企画があって、それに僕が参加したんです。それでつくったのが「SEX」という1分間の曲だったんですよね。それを引き延ばしたのが今回収録した楽曲なんですけど、この曲は去年リリースしたアルバム『SymmetryS』の中にも収録されているんです。RAHMENSの小林賢太郎と一緒にやった実験的ユニットのアルバムなんですが、時間が経った今でもまったく色あせることなく、昨今のエレクトロとテイストが似たようなものになっているんです。だから、あえてここでもう1回みたいな気持ちになって。

アレンジはしなかった?

FPM:手を加えようと思ったんですが、その必要はなかったですね。だから、リマスタリングだけです。

12曲目の「Ai No Yume」はUNIQLO CALENDARとのタイアップ楽曲ですが、耳に残るようなゆったりとしたサウンドにしようと思ったきっかけは?

FPM:本編は11曲で終わって、この作品の立ち位置はエンド・ロールですね。テンポ65くらいのゆっくりしたダブに聴こえるんですけど、実は4つ打ちを加えているので130のBPMなんです。ほかの曲も130のBPMですから、ゆったりした曲ではなく、テンポでいえば全曲同じなんですよね。この曲にはそういうトリックも入れています。これもUNIQLO CALENDARから派生した曲なんですが、やはりショパンはクラシックというよりポップスだと思うんですよね。この大ネタ中の大ネタを自分なりに調理させてもらえたのが、本当に痛快というか(笑)。それと、靖晃さん(清水靖晃)のサックスはすごいなぁって、あらためて今回も思いましたね。

1曲目と最後にクラシックをネタにしたのは狙って?

FPM:そうですね。やっぱりクラシックの曲を2曲入れるなら、頭とケツではさもうと思いました。そして間の曲に関しては、段々とディープになっていくようにしようと。これはDJ的な考えに基づくんですけどね。

今作をどのように楽しんでほしい?

FPM:FPMをはじめた時から“都会で生活するためのオリジナル・サウンドトラック”というキャッチフレーズを自分の中で考えていて。その昔は、もう少しゆったりとしたラウンジなダウンテンポなものをつくっていたんですけど、ダウンテンポで超メロウな女の人の声が入るラウンジ・トラックっていうのは、逆に都会の生活から見ると嘘っぽいって思ったんですよね。この世知辛くて生き急いでいる都会のBGMには、このダンス・ミュージックのテンポであるBPM130くらいの音楽が、もしかしたらリアルにフィットするんじゃないかなって。決して安らぎを与えてくれる音楽ではないんですけど、日々の生活のリズムをうまく上げてくれるというか、気分を上げてくれると思うんです。だから、聴き方は本当に自由ですよね。つくった者としては、これ以上申し上げることはないって感じです。

00年代最後の作品ということで、この作品をリリースするにあたっての特別な感情はありますか?

FPM:‘10年に差しかかるところで、一応、自分のアルバムが出せましたからね。‘10年代は自由に自分の好きなことができるっていう期待はあります。本当に自分がずっとつくりたいと思っていたアルバムが、もしかしたらはじめてつくれたのかなっていう位の気持ちですから。これで終わりじゃなくて、むしろスタートを切るような気持ちですよね。僕って音楽に興味がなくなったら、音楽もDJもやらなくていいと思っているんです。でも、今ってDJをやるのもスタジオにいるのも楽しくて仕方がないんです。こんな気持ちになれたのは、FPMとして音楽をつくりはじめた時以来だったので、そういう意味ではいい状況でアルバムをリリースできたと思いますね。来年で15周年を迎えるんですが、そのギリギリで出せたのは、来年になってすごく背中を押してくれると思います。

‘10年の抱負を聞かせてください。

FPM:来年は15周年なので、何か面白い企画をやりたいなって思いつつも、現在のスタイルにこだわらず、全然ちがうフィールドとのコラボレーションみたいなこともできたらいいなって。それがハウスなのかテクノなのか、それともヒップホップなのかはわかりませんが、タガが外れた状態でやってもいいのかなって思いますね。純粋に自分が面白いと思えるものに出会って、そこにいろいろなエネルギーを注げることは、すごく幸せなことですよね。クリエイターはそれがなくなったら終わりだと思うし、来年もそういう気持ちになれるものにいっぱい出会いたいと思います。

INTERVIEW:Hiroyasu Wakana

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