東京スカパラダイスオーケストラ

01_SkaPara_610350


3月10日、東京スカパラダイスオーケストラが、20周年イヤーを締めくくる2タイトル、アルバム『WORLD SKA SYMPHONY』&DVD『“and TOKYO SKA goes on..”』を同時リリース! 記念すべき作品はどのようにして生まれたのか!? 谷中、茂木、NARGOの3人にインタビュー!!


 昨年の『PARADISE BLUE』から、今回の『WORLD SKA SYMPHONY』をリリースするまでの“20周年”という1年間を振り返ってみての感想は?

NARGO:20周年の中で、入口と出口にアルバムがそれぞれ1枚ある感じで、楽しみ尽くした感がありますね。

茂木欣一:ツアーも春にライヴハウス・ツアー、秋冬にホール・ツアーをやったんですけど、夏にやったイベント『トーキョースカジャンボリー』が、記憶の中では一番大きいかな。はじめて自分たちで主催したっていうところがね。

 今作の制作アプローチは、どのように?

谷中 敦:『PARADISE BLUE』の方が“20周年記念”みたいな感じで、それまでの自分たちの活動に対する“落とし前”みたいな感覚があったんですよ。で、そのアルバムをツアーでやりながらレコーディングをしていたので、振り返りつつ、新しいことにチャレンジしていこうっていう視点になって。だから、今作は『PARADISE BLUE』をふまえた上で、かなり開けたものになっていて、音楽的チャレンジが豊かなアルバムになったなと。そこが一番の特色ですね。ただ、そうやってバラエティ豊かな割には、まとまっているというのが僕としては驚きで。20年積み上げてきたものが9人にあって、仕上げの部分で抜かりがないというか。全部並べてみて、どれも遜色ないのがすごいなって。

茂木欣一:統一感あるよね。気分的にもみんな一番振り切れてたんじゃないかな、とっても(笑)。行くところまで行きたい気持ちの強さっていうか、自分たちが主催したフェスで、ファンの人たちとのつながりがさらに強くなったのを目の前で見たことが、気持ちやサウンドを振り切れる方向に持っていくのに、大きく作用していると思う。

 『トーキョースカジャンボリー』が、今作に与えている影響は大きいんですか?

NARGO:言葉で言い表すのは難しいんですけど、“あ、こういう感じでいいんだな”って、何か確認できたものがあると思うんです。純粋にスカという音楽だけでくくったフェスだったんですけど、それが成立するかどうかって、まったくの未知で。それがあそこまで盛り上がったし、海外のバンドも来て世界ともつながったし、“スカの未来もまだまだ明るいんじゃないの?”ってすごく感じたんです。それが、すごく力の抜けた形で、アルバムにつながったような気がしますね、音的にも。

谷中 敦:国内外、いろんな形のフェスを見てきて、20年目にして、はじめて自分たちで主催したフェスだったんですよ。いつもは呼ばれるばかりだったんで、メンバーみんな楽しみであり、プレッシャーもあったと思うんだけど(笑)、お客さんのマナーや情熱を見た時に、僕らがやってきたことはまちがっていなかったというのを感じて。それが安心感と自信につながって、自由な選曲で、やりたいことをきちんとやっていけばいいんじゃないかなという気持ちになれましたね。

 それが今作の振り幅の広さにもつながっていると。

谷中 敦:昨年にシングルで出した「KinouKyouAshita」を録った時に、欣ちゃんヴォーカルですごくいいのが録れたから、その勢いにのってヴォーカリスト呼んじゃおうみたいな感じになって。あの作品は、アレンジはすごくスカなんだけど、ミクスチャー・ロックっぽい、ありそうでなかったサウンド。“これってスカパラにしかできない音だ!”っていうのは自分たちでも感じて。

茂木欣一:そうだね。そこで何をつくったかということに対して、みんなで分析して。そういうひとつひとつが勢いをつけるというか。毎回いろんな新曲が出てくる中で、いい曲だけが選ばれるというよりは、“今の気分はどうなの?”っていうのを毎回話しながら、道をつくっていくという感じで。

NARGO:“さらに一歩踏み出すぞ!”、“スカパラをもうひとつ進めていくぞ!”っていう気迫が、『Perfect Future』の「Pride of Lions」あたりから強いような気がしますね。そこから「KinouKyouAshita」とか、リズムの組み合わせのチャレンジとか。そういうところに発展していって、僕らの求めているものが、もっと新しいものになっていくんじゃないかなっていう気が今回もしました。

 奥田民生さんとの再コラボは、フェスで奥田さんから声をかけてきたのがきっかけだったそうですね。

茂木欣一:本人は正式にこちらからオファーがあった時、ビックリしたらしいですよ(笑)。後から、「社交辞令だったのに」って。

谷中 敦:相性がいい人は、何回もやってみたいという気持ちはもともとあって。それこそ“民生さんとも、またやりたいね”みたいな話は出ていたんですよ。

 もし、そこで会っていなくても再コラボの可能性はあったと。

NARGO:可能性は十分ありますね。

谷中 敦:同じ人で2回やるってリスキーだし、またかよっていうのもあるだろうし(笑)。しかも、前より良くないよって言われる可能性もあるわけで。でも、そこにあえて「美しく燃える森」に似た楽曲をぶつけていくっていうところに、僕らの気持ちを感じ取ってもらいたいですね。全然ちがう曲調のものも考えていて、川上もつくってみようと思ったらしいんですけど、「あえてこっちでいかないと2回目をやる意味はない」って言ってましたからね。

 「ずっと」ではCrystal Kayさんを迎えていらっしゃいますが、こちらはどのような経緯で?

谷中 敦:沖が5、6年前からずっとやりたいって言っていて。

NARGO:デビュー当時からですよ。だから10年くらい前かな。すごく興奮しながら、「すごい人がいるよ!」ってずっと言っていて。その時もやりたいって言っていたんだけど、なかなかそういうタイミングがなくて。それで、今回誰をフィーチャーをしようっていう話になったときに、ぜひということで。彼女が歌うならどんな曲がいいかって、2、3曲候補が挙がってたんですけど、この曲は相性が良かったですね。はじめて聴いたら、Crystal Kayさんが歌っているってわからないんじゃないかっていうくらい、新しい感じがしますよね。

茂木欣一:彼女の作品は割と打ち込みが中心のR&Bが多いから、思い切り生演奏みたいな感じの方に持っていった時に起こる化学変化をすごく楽しみにしていて。あの声の突き抜け方を聴いた時には、想像を軽く超えたというか、想像しようもないくらいで。そこから出てきたものに出会えた瞬間の喜びって、言い表し難いものがありますよね。

 声にものすごく開けた感じがありますよね。

NARGO:そう。僕らが心から「素晴らしい、素晴らしい」って言っていたら、「誉めすぎです」って怒られちゃって(笑)。

茂木欣一:Crystal Kayさんと話していたら、スカパラがデビューした時って3歳か4歳くらいだったらしくて。いろんな世代の人たちと常につながっていたいという思いが僕らはあるので、今回そういう、ちがう世代の人と一緒にやれて、「誉めすぎです」ってしかられるくらい打ち解けられて、本当にやってよかったと思います。

 「君と僕」に歌詞をのせて、リアレンジして、生まれ変わらせようというアイデアはどんなところから?

谷中 敦:スカパラのインスト曲で、ファンの人にずっと聴いてもらっている曲に歌詞をつけて、よみがえらせたら面白いんじゃないっていうのは、ずっと前から言っていて。で、今回、この「君と僕 2010」で、ようやくその夢が叶ったんです。斉藤(和義)くんも、ここ数年仲良くさせてもらって、飲みに行ったりしていて。音楽好きだし、ハッピーな男なんで、一緒にやりたいなと思って、今回実現しました。歌詞も作曲した沖から「もとからあったみたいな歌詞だね。とってもいいね」っていうメールが届いて(笑)、それがすごくうれしかったですね。ただ、タイトルとメロディがすでにあって、そこから歌詞を書きはじめるっていうのは難しかったですね。

 いつもと勝手がちがうのでとまどいました?

谷中 敦:つまらない恋愛の歌にしたらヤバいなって(笑)。

NARGO:今日のお題みたいに、最初から枠があるわけだからね(笑)。

谷中 敦:しかも、20年前からずっと好きで聴いてくれている人もいるわけじゃないですか。裏名曲というか、心の名曲ベスト1って思っている人が多い曲だし、何回もアレンジを変えてライヴでやってきているし、これは相当お客さんの中で育っている曲だなって。僕がそこに歌詞をのっけるのに、裏切り行為はできないって、緊張しましたね。で、いろいろ考えて「君と僕」の友情の部分を、お客さんとスカパラの関係で、同じように歩んでいくっていうところにたとえて。一緒に歩いていて、横目で見て、“お、お前も頑張ってるじゃん”みたいな。そういう感じの曲にしたいなって。間奏の前が20年前で、口笛を吹いている間に20年が経って、現在に至るっていう歌詞になっています。斉藤くんのほのぼのしたというか、淡々と歌う感じで、より感動的になっていますね。

 曲順はライヴを意識しているような感じを受けたんですが。

NARGO:そこは今回も“曲順番長”茂木欣一さんが全部。もはや欣ちゃんに丸投げですからね(笑)。

茂木欣一:好きなんですよね(笑)。先回りして、ここにはこういうタイプの曲がほしいなとか考えるのが。リハーサルの音源とかを聴いて、この曲をここに入れたらどうかとか。で、この前メモを見たら、11月くらいにはもう曲順ができ上がっていて、自分でも驚いたんですけど(笑)。

谷中 敦:ずいぶん昔から曲順を決めてもらっているけど、どんどん早くなっているよね(笑)。最初の頃は、曲ができ上がった頃に曲順ができる感じだったんですけど、今は「この曲順で行くとこういう曲が足りない」とか。もはやプロデューサーの域に達していますね(笑)。

茂木欣一:イメージしやすいんですよね。こういう風に録音したら良さそうとか、イメージがどんどんふくらんでいくんで。ライヴっぽい感じになっているのも、起承転結を付けるのが好きなので、「愛の讃歌」までで本編。で、カーテンコールで「君と僕 2010」みたいな。それと、20周年というところもあって、デビュー・アルバムの『スカパラ登場』とシンクロするのも面白いなと考えて、同じ曲で終わるようにしてます。

 ちなみに、今作のジャケットのスーツ・カラーの黄色はどんなところから?

谷中 敦:黄色はデビュー当時によく着ていて、“特別な色”みたいなところがあるんですよ。最近は着ていなかったし、10年くらい前に入ってきた欣ちゃんや加藤くんは、着たことがない色だったこともあって。

NARGO:欣ちゃん着たことなかったっけ?

茂木欣一:ええ。だから、“ついに着たぞ!”っていう感じ(笑)。結成時からのメンバーの中でも、黄色って強い思いがあると思うから、何か特別な時じゃないとっていうイメージがあって。そこに居合わせることができたのは、すごくうれしいよね。

 同日にはDVDもリリースされますが、そちらの見どころは?

NARGO:全員のマジインタビューが入っています。ひとりずつ語るのって、なんか恥ずかしいんですけど(笑)。でも、僕たちが今、何を考えているのかっていうのが凝縮されているんじゃないですかね。ヨーロッパ・ツアーの模様もかなり楽しいし、民生さんや斉藤さんの貴重な歌入れの様子も入ってます。そんなところ、なかなか観れないですからね。

谷中 敦:素顔だよね。濃厚なホームビデオ(笑)。

茂木欣一:僕は10年前くらいに合流したんですけど、その頃にスカパラが『SKA EVANGELISTS ON THE RUN』というビデオを出していて。そこでもメンバーがひとりひとりインタビューに答えているんですけど、その時の表情と今回のビデオの表情と比べると、10年間いろいろやってきて、こういう表情になっているんだなって、感慨深くなりましたね。今20周年を祝えているのって、本当に素晴らしいことだなって。

 3月27日には20周年締めくくりのライヴ『東京スカパラダイス国技館』が、4月24日には21周年キック・オフ・ライヴの『東京スカパラダイス国技館』が開催されますが、こちらへの意気込みは?

谷中 敦:両方とも20年間やってきて、東京でやったことのない場所なんです。そういう意味で、僕らにとって東京の中でもまだチャレンジできるっていうのが、すごいなって。この間、両国国技館まで、全員で視察に行ってきたんですけど、楽しみですね。どこからでも見やすいし。枡席もそのまま使うんですけど、枡席の占める割合がこんなにあるのかと改めて思ったり(笑)。真ん中にステージ置いてやるんですが、まちがいなく面白いことになると思います。東京体育館は、まだ中は見れてなくて。どうなるかな。

 はじめてだと、未知数の部分が大きい?

谷中 敦:東京体育館は、僕はまったく見えてないですね。

NARGO:今日も前を通ってきましたけど、今日はジュニアの新体操の大会やってましたね(笑)。そういうところでライヴやるんだから、どういう感じになるのかな。バレーボールの聖地的な場所でもあるし。

茂木欣一:そうだよね。どっちの会場もいろんな名勝負を生んでいるような場所だもんね。

NARGO:20年歩み続けて、応援してくださったみなさんにすごく感謝しつつ、さらに21年目に突入していきたいと思いますので、これからも応援よろしくお願いします。


INTERVIEW:Shinji Takemura


02_CTCR-14662B_130
●初回限定盤(ALBUM+DVD)
03.10 On Sale
『WORLD SKA SYMPHONY』
東京スカパラダイスオーケストラ
CTCR-14662/B
¥3,500(tax in)

03_CTCR-14662B_130
●通常盤(ALBUM)
03.10 On Sale
『WORLD SKA SYMPHONY』
東京スカパラダイスオーケストラ
CTCR-14663
¥3,000(tax in)

04_CTBR-92064_130
●DVD
03.10 On Sale
『“and TOKYO SKA goes on..”』
東京スカパラダイスオーケストラ
CTBR-92064
¥2,500(tax in)

コメント :

コメント投稿:





※コメントは承認制です。承認後表示されます。