エイジア エンジニア

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L to R:SHUHEI, ZRO, KZ, YOPPY

7月13日にリリースされる、エイジア エンジニアのフル・アルバム『あいかわらず 愛かわらず』。前作『FANTASTIC 4』より、さらにパワー・アップして帰ってきた彼らの思いに触れたら、このアルバムを聴かずにはいられない!


 今作は、フル・アルバムとしても新作としても、1年7ヵ月ぶりのリリースとなります。1枚ができあがった、今のお気持ちを教えてください。

KZ:ちょうど去年の今くらいから、アルバムのタイトル案や収録曲の構想を考えはじめたんですけど、本当に今までで1番強い思いが入っているし、やりたいことがカタチにできたアルバムになりました。今は充実感でいっぱいです。

YOPPY:僕も、満足度・幸福度ともにかなり高いですね。だけど、1枚が完成した今もやらなきゃいけないことがたくさんあって。アルバム1枚をつくるというのは、改めて大変なんだなっていうことを実感しています。

ZRO:去年の夏はアルバムを出す予定すらなく、僕ら的には過渡期というような時期が続いていて。さらに、長年いた事務所を移籍するっていう展開があったんですよ。で、すごく心境の変化があって、“このまま活動を続けるか、続けないか”っていう話にまで発展したんです。だから、今年に入ってみんなでスタジオに入りはじめてからは、本当にいつも“アルバムの完成形”しか頭にない状態でした。今までのエイジア エンジニアではこうだったけど、新しい面も見せたい。じゃあどう残しつつ、新しくするのか。大袈裟じゃなく、そんなことを考えない日がなかったです。そのせいか、前だったら「アルバムできた、バンザーイ! しばらくはライヴのことだけ考えればいいや」って思っていたんだけど、今は“このアルバムをどうやって人に広めていけばいいのか?”とか、“どうすればプロモーションできるのか?”とか、そういうことを考えています。そのひとつとして、ちょうど今日(編注:取材日は6月15日)からUSTREAMで番組(『モヘゲラ』)がはじまります。アルバムができて終わりじゃなくて、そこから先がものすごく大事なんだなって思っています。

SHUHEI:音楽活動をしていく上で“アルバム”っていうのは、そのグループや人の歴史として積み上げていくもの、証明のひとつのカタチだと思うんです。だから、デビューして7年目のこの時期でもアルバムが出せるっていう自分たちが置かれている環境に、良かったと思いました。とにかくホッとしていますね。

 ZROさんのような心境の変化というのは、みなさんそれぞれ同じように感じていたことですか?

YOPPY:はい。僕らはデビューしてからずっと、当たり前のようにシングルを出して、当たり前のようにアルバムを出してきた。でも、それは周りの人たちの支えや助けがあったからこそだったんですよね。そういうことを考える時間もなく活動してきたので、事務所が移籍っていうこのタイミングでみんながそれを改めて考えました。

 4人だけで集まって話し合ったりも?

KZ:すごく話しました、ファミレスとかで(笑)。

SHUHEI:九段下のね(笑)。

ZRO:“定期的に集まろう”っていうルールをつくって集まっていたんです。経済本や自己啓発本を読んだりもしました。“1番大事なことはヴィジョン”とか、“良いチームは、必ずミーティングしている”とか。有名なサッカー選手が“自分の弱さを認めた上で強くなった”っていう話を聞いて、“エイジアはここが弱いから、強くするためにはこうしよう”とか…。アルバムに関しても、“音は前衛的に、でも歌うことは普遍的なものを歌おう”って話し合った結果、今回はサウンドにインディーズ・バンドを入れるっていう試みをしているんです。

 インディーズ・バンドを入れるということ以外に、制作の面で変わった部分はありますか?

ZRO:実家をプリプロ・ルームにして制作したことですね。2階に両親が住んでいる普通の家なんですけど、その3階にみんなで集まって。プリプロをする部屋、パソコンの作業をする部屋ってわけて仕事をしていました。畳であぐらかいて話したり、そういうスタイルは新しかったです。

 場所がちがうと、気持ちもずいぶん変わりますよね。

ZRO:制作中は、家族みたいでした(笑)。「メシできたぞー」って感じで。

SHUHEI:でも、僕だけZROの家から遠かったんです。正直、結構キツかったよ(笑)。

KZ:俺はチャリで10分だったけど(笑)。

YOPPY:早めに集まってSHUHEIが終電で帰れる時間まで集中してやろうって決めて作業していました。あと、事務所が変わったことでダメ出しや指摘をしてくれる人がいなくなったので、4人とも良くないものは「良くない」ってはっきり言うようにした。なんとなくリリックを集めて、なんとなく曲にすることはしない、っていうことも今までとちがうところです。

ZRO:そうそう。「ボツをやめよう」っていうのもすごく話していました。どんな曲でも、練れば練るほどちゃんとカタチになる。この曲のここが気に入らないからボツにしようじゃなくて、工夫して工夫して研磨していったら絶対に良いものになるから1曲1曲を大事にしようって。曲のつくり方までポジティヴになりましたね。

 それぞれの曲がすごくコンセプチュアルというか、具体的に情景が浮かんでくる曲が多いなっていうのは強く感じました。

YOPPY:ありがとうございます。今までを振り返ってみると、“より多くの人に共感してもらいたい”という気持ちが強い曲は、幅広い世代の人たちに共感してもらえたとしても、内容がとても薄くなっている場合があって…。その一方で、結婚する友だちのために書いた曲とか、すごく具体的に個人のことを思い浮かべて書いた曲って、本人以外の人にも強く伝わったりするんです。

 「Summer Day’s NEET」とか、“ニート”っていうワードのせいもありますが、暑い夏の日にダラダラしている様子がはっきりと浮かんできます。

ZRO:まさに、去年の夏に「仕事ない!」っていう時期があって。その頃、毎日のようにKZの家に行って、昼間からビール飲んだり、ソバを食って散歩に行ったりしていたんです。で、「この生活ってさぁ、超ダメだけど、超良いね」って話していて。そもそも“夏はそんなに働く必要がないんじゃないか?”、“日本人は働きすぎなんじゃないか?”って思ったんですよ。日本に住んでいるから仕方ないんだけど、働けば働くほど幸せになれるかって言ったらそうでもないし。それなら「夏は休んで、人生を謳歌したほうが良いよね」ってことで。でも、現実にはそうもいかないから、その気持ちだけでも曲に託そうと思ったんです(笑)。

 「Runner」は、実際に全員で走って、その気持ちを歌にしたとか。

YOPPY:全員20キロ走ったんです。僕は早々にヒザを痛めて(苦笑)、徒歩ぐらいのスピードで走っていたんですけど、その時になんて声をかけられたいのかなって考えたら「がんばれ」じゃない! って思ったんですよね。

ZRO:これは俺、すげぇ深いなと思いました。YOPPYはずっとiPodでトラックを聴きながら走っていたんですけど、「こういう限界の時って、“前へ前へ”っていう言葉しか出てこなくね?」って。

 トラックを聴きながら走ったとのことですが、いつもトラックを先につくってからリリックを考えるんですか?

YOPPY:基本的にはそうです。SHUHEIが元のデモ・トラックをつくって。

SHUHEI:最初に、“どんな曲をやりたいか”っていうアイデアを持ってきてもらうんです。リリックのテーマではなくて、曲としてどういう雰囲気のものがやりたいのか。ロックなのか、ハウスなのか、ヒップホップなのか…。それで「どうなの? こういう雰囲気?」、「そうそう」みたいなやりとりをして曲の土台ができあがっていく感じです。

ZRO:あ、でも今回の「マンモス」は、KZがアレンジをイチからやっているよね。あと「また逢えるさ」も。

KZ:僕は煮詰まりましたね。気持ち悪くなるぐらい聴きました。

 その時は、どうやって解消したんですか?

KZ:飲みに行きました。気分を変えないと、本当にノイローゼになりそうだったので。ようやくつくり終えて、みんなに会ったら「顔が死んでいるよ」って言われました。

ZRO:パソコンに命を吸われている感じだったよ(笑)。

 みなさんそれぞれがアイデアを出し合っていますが、アイデアがありすぎてまとまらないっていうことはないですか?

YOPPY:4人で一緒につくるとまとまらなくなっちゃうので、なるべく2人ぐらいでつくるようにしていたんですよ。

KZ:1人発信でも3対1になっちゃったりして難しいので、2人以上で。2人が納得したものは、全員で共有しやすいんです。

ZRO:このやり方も、今回発見したことですね。

 自分たちで良い・悪いのストレートな意見を出し合っていて、気まずいムードになったりはしませんでした?

ZRO:敵はこの4人の中にいるものじゃないですからね。まず4人が納得しないと意味がない。でも結構めちゃくちゃに言い合いましたよ。「言い方に気をつけろ」とか(笑)。

SHUHEI:それは特にZROだよ(笑)。「同じことを言うにしても、言い方ひとつだからね」って。

ZRO:「なんでそんなにへりくだって言わなきゃいけないんだよ!」とか(笑)。でもまぁ、良い曲にしようという一心からです。

YOPPY:それだけみんなが真剣だったんですよ。

KZ:責任感はすごくあったよね。

ZRO:そんなこともありつつ、制作自体は本当にサクサク進んだんです。ひとりで抱え込まずに複数人でつくるとか、やりたいことを明確にしてつくるとか、つくり方にもコツがあった。本当に今作を通じて“やり方がわかった”って思いますね。このやり方でやっていれば、まちがいないし。

 逆に今までは、“うまくいかないな”と思うことも多かった?

ZRO:やっぱり、締め切りに追われるようなやり方は良くないですよね。「明日レコーディングしないとダメ。マスタリングもトラック・ダウンのスケジュールもおさえてあるから!」っていうやり方だと…。おそらくそれがもっとも曲への妥協を生むし、「仕方がない」は言い訳にならないから。

 なるほど。ところで、今回はDVDもかなり豪華な内容です。見どころを教えていただけますか?

ZRO:今回はスーパーヴァイザーとして、小島淳平さんを迎えています。世界的に有名なCMディレクターでもあり、SHUHEIの先輩でもある小島さんに、「僕らのアルバムができるんで、お願いします!」って直談判しに行ったんです。で、小島さんが育てている若手ディレクターの中から3人を紹介してもらって、ミュージック・ビデオをつくってもらったんです。その3人が才能ある人たちで、すごく面白い映像を撮るんですよ。「純夏〜青春編〜」は、“こんな映像の撮り方があるんだ!”っていう撮り方をしているし、「Runner」は外国の映画みたいだし。「世界で一番素敵な人」もドラマ仕立てで、指人形が主人公なのに泣けるんです。本当にミュージック・ビデオだけでも見応えありますね。あとは、YOPPYが編集している『ヨッPV!!』も収録されています。

 『ヨッPV!!』は、撮影もYOPPYさんが担当しているんですか?

YOPPY:「Runner」の時は、事務所のスタッフに無理矢理カメラを持たせました(笑)。「また逢えるさ」は、レコーディングの時、カメラを天井に固定して撮ったんです。

 さらに、過去のミュージック・ビデオも2曲収録されています。

ZRO:「スーパーヒーロー」と「純夏〜Jun-natsu〜」ですね。

YOPPY:「純夏〜Jun-natsu〜」と今回の「純夏〜青春編〜」を見比べていただけると、成長がわかると思います。悪く言えば、老けたというか(笑)。

SHUHEI:KZが特にね!

KZ:俺めっちゃ太ったんですよ、飲み過ぎで…。

YOPPY:ZROとSHUHEIはあんまり変わっていなかったよ。ZROは、「純夏〜Jun-natsu〜」の時がコミカルすぎて、今のほうが若く見えるかも(笑)。

 DVDを観た方の反応も楽しみですね(笑)。では最後に、メッセージをいただけますか。

YOPPY:CDを出すたびに両親に聴かせているんですけど…初めてですね、何回も繰り返し聴いてくれているのは。クラシック・マニアな親父も、「お前らが出した中で、一番良いんじゃないか」って言っていて。

ZRO:“YOPPYの親父、絶賛!!”って書いておいてください!

一同:(笑)。

YOPPY:母親も、普段は音楽をほとんど聴かないんですけど、「何回も聴けるね」って言っていました。本当に聴けばわかると思うので、ぜひ聴いていただきたい。それだけを切に願います。本当に妥協なしでつくったアルバムなので、とにかく聴いてください!!

ZRO:聴かなきゃわからないし、聴けばわかるかもしれないし、ね。

YOPPY:結構当たり前のこと言っているようですが、買って聴いていただかないと良さもわからないので…。とにかく聴かなきゃ損です!


INTERVIEW:Ai Kishino


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