オーラルヴァンパイア
L to R:レイブマン、エキゾチカ
エキゾチカとレイブマンによるインダストリアル歌謡ユニット、オーラルヴァンパイア。これまでに数多くの楽曲配信を行ない、日本国内のみならず、海外でも高い評価を受けている彼らが、5月5日、ついにメジャー・ファースト・アルバム『ZOLTANK』をリリース!
エキゾチカ:レイブマンとは昔からの知り合いで、はじめて見た時はすごく怪しい人だなって。様子がおかしいし、しゃべらないし(笑)。で、たまたましゃべる機会ができて、その時に「将来、何になりたいの?」って質問したら、すごく小さい声で「ゾンビ」って。私もずっと“ヴァンパイアになりたい”っていう願望を持っていたので、普通の人だったら引いちゃうようなレイブマンの答えをすんなり受け止められたんです。それで“ゾンビになりたい怪しいこの人は、普段どんなことをしているんだろう?”って思って聞いたら、打ち込みを使って曲をつくっているっていうのを知って。私は、歌うのが好きだったので、“私が歌うから曲をつくってよ”って言って、その曲で歌いはじめたのがきっかけですね。
レイブマン:もともとテレコでいろんな音を録音するのが好きで、そこからシンセサイザーを使って、ひとりで音楽をつくるようになったんです。だから音楽活動というよりは、単に変な音をつくるのが好きだっただけで。そんな時に、はじめてヴォーカリストに声をかけてもらって、はじめて“曲”っていうものを意識してつくりました。
レイブマン:そうですね。ノイズとか、テクノとか、そういうのをつくっていました。そこから自分でメロディをつくることになって、ノイズやテクノ以外にもパンクやジャズなど、いろんなジャンルの音楽を聴いて、アレンジの仕方や音楽理論みたいなのを独学で勉強しました。
エキゾチカ:してないです。おばあちゃんがお店をやっていて、3歳くらいからそこで演歌を歌って、お客さんからおひねりをもらっていたんです。だから、歌を歌うことはすごく自然なことで。それとクラシックバレエをずっとやっていたので、人前に出ることにプレッシャーを感じることもありませんでした。
エキゾチカ:これは演出としてやっているわけではなくて、個々で好きなカッコウをしているだけなんです。本当になりたいものになるというか、普通のファッションと同じで、自分の中の理想に近づくためにやっていて。
レイブマン:幸運なことにと言うか、今まで会社に勤めることもなく、社会的な制約を受けたことがないので、好きなように仮面をかぶったり、牙をはやしたり(笑)。流行とかではなく、僕はゾンビのイメージを、エキゾチカはヴァンパイアのイメージをそのまま形にしているだけで。2人で特に合わせているつもりはないんですけど、好きなものが共通しているので“オーラルヴァンパイア”というくくりにちゃんとなっていますね。
エキゾチカ:最初はそういう気持ちは、まったくなかったんですけど、レイブマンのバックグラウンドがテクノとか、もともとドイツ系の音楽で。
レイブマン:ネットを通じて、海外で目をつけてもらったみたいな感じで、僕らの知らない間に広まっていたんです。
エキゾチカ:それで海外にも呼ばれるようになって、最初にドイツに行ったんですけど、向こうってスーパーとか、普通の空間でテクノが流れていて。日本だとクラブとか、特別な空間じゃないと流れていないような音楽が、日常の中に溶け込んでいるんです。だから抵抗なく受け入れてもらえたのかなと思っていて。
レイブマン:日本だと若い子の部屋にあるのはギターだと思うんですけど、向こうだとシンセサイザーが置いてある文化らしいです(笑)。
エキゾチカ:かなり長い間、ライヴだけで音源を出していなかったので、これはホントに名刺代わりの1枚という感じで。今まで出せなかった間に私たちが感じてきたことを詰め込んだタンクみたいなアルバムなので、ストーリー性があってというよりは、1曲1曲に私たちの思いが詰まった短篇集的な作品ですね。全部通して聴いてもらってもいいし、1曲1曲別の脳味噌で聴いてもらっても面白いかなと思います。
レイブマン:収録されている曲の年代もバラバラで、古い曲だと5年以上前の曲もあって。それらがまとまっているっていうのが、ずっとやりたかったというか、それをやらないとスタートできないというのがありましたね。
エキゾチカ:そう。だから“ファースト”っていうよりも“ゼロ”っていう感じです。メジャーで1枚目なんですけど、“これから”というよりも“今までの”という。
レイブマン:僕らのタイプ的に、本当はコンセプトを決めたかったんですけど、リリースされていない曲が溜まりすぎてしまっていたので、今回はそういうのを全部まとめてっていう形で。
エキゾチカ:と言っても、すべて新しく録り直していて。音もその時代その時代で古くなっていってしまうので、今のレイブマンの音をちゃんと入れてつくりました。だから、同じ曲でも新しい作品として聴いてもらえればと思います。
エキゾチカ:そうですね。私たちの中に溜まったものを吐き出す作業というか、身ごもったまま産めなかったものたちが詰まっています。
レイブマン:重いな(笑)。
エキゾチカ:重いかな(笑)。でもわかるでしょ、なんとなく。
レイブマン:まぁね。ただ、僕らは社会派メッセージとかそういうんじゃなくて、聴いてその世界観を楽しんでもらうっていうことがやりたいので、僕らとしては重いけど、聴く人は身構えずにライトに楽しんでいただければいいかな。
レイブマン:基本的には個人作業だから、思ったようにっていう感じなんですけど、しいて言うなら、ちょっとしたテーマとしてあるのは、“アンダーグラウンドにもJポップにも、どっちにも通用する”っていうのを意識しています。
レイブマン:オーラルヴァンパイアに関しては、その辺は意識していないですね。DJでかけるものは、オーラルヴァンパイアとは別のチャンネルで考えています。
エキゾチカ:レイブマンのホントの趣味ってなると、Jポップの要素がなくなっちゃうもんね(笑)。
レイブマン:それどころかホントにアンダーグラウンドの中でも気持ちの悪い曲が好きなので(笑)、聴く人をかなり選ぶ感じ。
エキゾチカ:だからオーラルヴァンパイアの時には、ちゃんとこっちにチャンネルを合わせてくれているなっていうのは感じます。
レイブマン:両方とも好きなので、どちらか一方をやっていれば満足っていうことはないんです。
エキゾチカ:両方やらないと消化されないんだよね。DJもそういう作業として必要なことで、オーラルヴァンパイアとして曲をつくるのも必要なことだって。ふたつのチャンネルでやっていかなきゃ、バランスが取れないみたいです。
エキゾチカ:あえてというか、日本人だし、もともと使っている言葉が日本語なので、逆に英語で歌う必要性がないというか。あと、言葉遊びをするにあたって、語学力の問題で英語じゃそれができないっていうところですね(笑)。海外の人も聴いてくれてるんですけど、やっぱり一番は日本人に面白いなと思ってもらいたいので、その辺ではやっぱり日本語にこだわりがあります。
エキゾチカ:曲の中で絶対1カ所以上引っかかる部分ってないといけないなと思っていて。その引っかかりがあるように言葉をのせたりもするし、造語でもいいんですけど、言葉に対して「どんな意味なんだろう?」と思ってもらえるように意識してつくっています。心地良いのより、私自身がそういうちょっと毒の強い物が好きっていうのもあります。
エキゾチカ:新しく聴いてくれる人に対しては、ホントに名刺代わりの1枚になっていて、いろんな種類の曲があるから、好みとかあると思うんですけど、音を楽しむとか、歌詞から自分の中で映画をつくってみたりとかして楽しんでもらえたらなと思います。あとはインディーズの頃から応援してくれている人たちのことをすごく待たせているので、その人たちに向けてっていうのもかなり大きいです。そういう人たちが聴いて楽しんでもらえるようにもつくってあります。
レイブマン:いろんな人が、いろんな楽しみ方をできるようにしてあって、たとえば歌詞を聴く人は歌詞を深読みして考えるっていうパターンもありますし、語感だけで楽しんだりとかもできますし。頑張っていいバランスでつくって、いろんなものが立ったアルバムになりました。
エキゾチカ:ジャケットもブックレットも盤のデザインも全部レイブマンがやっているので、かなり心がこもった作品になっていると思います。とにかくこれを聴いてもらって、この先を期待してもらいたいですね。そのためのアルバムなので、これからのオーラルヴァンパイアをぜひ見守っていただきたいなと。あとは今ある音楽とか、今ある音じゃなくて、新しい物をどんどん発信していけるようなアーティストになりたいと思っているので、こまめにチェックしてもらえたらなと思います。
レイブマン:ホントにいろんなタイプの人に聴いてもらって、僕はどういう反応なのか知りたいですね。自分の頭の中をのぞかれている感じなので。それと、エイベックスからこういう音楽が出るっていう面白さもあるので、そこは今後も期待してもらいたいというか。エイベックスのこういう部門を開拓していきたいなと思います。
INTERVIEW:Shinji Takemura
●ALBUM
05.05 On Sale
『ZOLTANK』
オーラルヴァンパイア
AVCD-23989
¥2,800(tax in)
★オーラルヴァンパイア
http://auralvampire.com/(PC・携帯)
待ってました。オーラルのアルバム!
ゾチカさんの歌声、相変わらず最高!!
レイヴマンのラップもどきキモい(笑)。でもサウンドは最高!!
しかも帯裏のこだわり。オーラルの本気を感じたYO