m.o.v.e
L to R:Mosh, Lily
8月25日、m.o.v.eによるアニメ・ソングのカヴァー・アルバムの第2弾『anim.o.v.e 02』がリリース! 人気アニソンのカヴァー楽曲をはじめ、人気声優やアニソン・アーティストをフィーチャーしたオリジナル楽曲、『VOCALOID2 Lily』を使用したリミックス楽曲など、バラエティ豊かなアルバムが完成!
motsu:オリジナルを年頭に出して、カヴァーを夏に出すっていうのは、これからのルーティンになっていくかもしれないんですけど、もともと僕も木村氏(t-kimura)も多産家なので、年に2枚出してもネタ枯れすることはなくて。そういう中で『anim.o.v.e』をどう位置づけるかっていうと、歌っているのは僕とyuriちゃんなんだけど、みんなにはMoshとLily(ジャケットのキャラ)が歌っているととらえてほしいというか。あくまで僕とyuriちゃんは、MoshとLilyの声をやっている“中の人”みたいな感じで(笑)、キャラがひとり歩きしてくれることを願っていて、今はちょうどその過渡期にあると思っています。
motsu:そうです。春くらいだったかな。まだ、こういうインタビューの場とかには出て来れないんですけど、レコーディングは結構ノリノリで歌っていましたね。でも、子供が産まれたら、また声が変わったなっていう印象があって。赤ちゃんがお腹にいた時も、声が太くなったなと感じていたんですけど、今はそれだけじゃなくて、高くもなったというか。母として、“頑張らなきゃ!”みたいな姿勢もすごく感じます。
motsu:カヴァーも他にこれをやりたいっていうのがあったり、アニソン界の別な方とこういう感じの曲をやりたいっていうのもあったんですけど、スタッフみんなと話し合いながらやった結果、このバランスになったという感じで。今作はリミックスも含めると、オリジナルの方が多くなっているんですけど、正直、そういうバランスの面は考えてなかった(笑)。でも、こうして見ると、カヴァー・アルバムというより、我々とアニソン界の方との社交アルバムみたいになりましたね。周りから見て、それがいいのかどうかわからないけど、僕たち的には全然ありで。アニソン界の方々とこういうことができるっていうのは、すごくうれしいです。
motsu:前回と一緒で、自分たちがやりたいと思ったものをスタッフが集めてくれた中から選びました。アニソンにすごく詳しい『anim.o.v.e』スタッフがいまして、そのスタッフが持ってきてたものを作品によっては、オープニングやエンディングだけでなく、本編も観た上で僕、yuriちゃん、木村氏の3人で相談して。最終的にはメロというか、曲で選びました。
motsu:いや、「この曲はどうしようか?」みたいなことは、割と話しましたね。その中で出たのは、全体のコード感と構成感は変えないようにっていうところで。ただ、「残酷な天使のテーゼ」では、結構ちがうアプローチをしました。この曲は、今までにいろんな方にカヴァーされているから、その中でも目立つようにガラッと変えています。木村氏的にも、“どこまで俺を出していいのか”っていうのは悩みどころだったんじゃないかと思います。
motsu:オリジナルが本当に好きな人からは「何でラップを入れるんだよ!」って、お叱りの言葉をいただきまして。それを本当に真摯に受け止めつつ、今回もガッチリと入れさせていただきました(笑)。その詞の世界観から一歩も出ないっていうのは、基本的なルールで。ただ、サッカーのバックスのようにしっかりと守っている曲もあれば、世界観からはみ出さないながらもトゥーリオのように前に飛び出しちゃってる曲もあります(笑)。
motsu:この曲は主人公が完全に僕(笑)。パソコンの前に座って動かない人間に、yuriちゃんと飛蘭さんの2人のフィギュアが「二次元の檻から出て、本当にリアルな物を手に入れよう!」って呼びかけるみたいなイメージ。で、2人から言われて「そろそろ家からでなきゃマズいな〜。でも、やだな〜」っていう葛藤の曲です(笑)。そういうのを想像して聴いてもらうと、面白いと思います。
motsu:そうです。前回のアニサマ(『アニメロサマーライヴ』)でご一緒して、声のすごい人だなと思っていて。今回、アルバムの全体感を考えて、ロックな曲もやりたいなってなった時に、“それならこの人だ!”ってことでオファーさせていただいたんですけど、イメージ通りでしたね。
motsu:お2人と一緒にやらせていただけたっていうのが、すごく光栄なことで。相当テンションが上がって、勝手に“3人でライヴをやったらこうなるだろうな”っていう妄想をそのまま曲にしちゃいました(笑)。金棒を持った赤鬼3人が、ライヴ会場をチェックしながら、くっど〜い歌で延々と盛り上がるみたいな感じですね。
motsu:ベタ中のベタなんですけど、歌っている赤鬼たちのイメージもオイルでベタベタで(笑)。♪油とオイルとラードを♪っていうパンチラインがあるんですけど、お2人ともそこを相当気に入ってくださって、本当に脂っこく歌っていただきました。やっぱりスキルもすごいし、パワーもすごいし、“クドさ”で言ったら世界一だなと(笑)。
motsu:ラジオでご一緒した時に、「今度、歌でご一緒しましょう」みたいな話になって。お互い社交辞令的なところもあったんですけど(笑)、今作の制作中に“あの面白い2人に入ってもらうのもいいんじゃないかな”と思って。それも、キャラとは逆なシリアスな方向で。ただ、僕の一存で最初からその方向に持っていってしまうのもなんだったんで、2人のキャラにあった曲とシリアスな曲の2つをつくってスタッフ・ミーティングにかけて、結局シリアスな方向でやってもらうことになったんです。
motsu:ズンドコ系って言うのかな、メロもシンプルで、同じ繰り返しが何回も出てくるような。たとえて言うと、青い三角定規の「太陽がくれた季節」みたいな感じですね。そういうのをすごくやりたかったんです。時代性を気にしないで、この詞だからこのメロディみたいな。アニソンっていうひとつの軸があるから、割と冒険してもいいかなと思って。オシャレかオシャレじゃないかって言ったら、全然オシャレじゃないんですけど、そういうところは意識しないで。そういう意図もすべて理解してもらった上で、鷲崎さんと浅野さんにはやっていただきました。
motsu:♪帰りの切符をもらうのは死んでからだ♪っていうフレーズがあるんですけど、そういう“死生観”みたいなものをテーマに取り入れていて。『銀河鉄道999』にも、そういった部分があるじゃないですか。だから、『銀河鉄道999』と一緒に考えていただくと、すごく飲み込みやすいんじゃないかなと思います。ただ、こういう曲は刺さる人には「おっ!」って刺さるけど、刺さらない人には全然刺さらない諸刃の剣なんですけど(笑)。
motsu:m.o.v.eとしてオリジナルに何か広げたいなっていう思いがあったので、ここまで振り切ったものをやりたかったんです。yuriちゃんも「すごくいいね。私も歌いたい!」って言ってくれたんですけど、4人じゃちょっとガチャガチャしちゃうなと思って、今回はあきらめてもらいました(笑)。ただ、みなさんからの声があれば、こういう感じの曲をシリーズ化していってもいいかなと思っています。
motsu:これは高山さんが、あえてyuriちゃんの声に近づけてくれたと思うんです。本当に芸達者な方で、いろいろとやってもらいましたね。高山さんは木村氏の憧れオファーだったんですけど、実際にご一緒にやらせていただくことになって、彼の中で並々ならぬ気合いがあったみたいで。曲のタイトルも最初から「JUPITER∞(インフィニティ)」って決め打ちできましたから。
motsu:いや、逆ですね。タイトルが先に決まっている方が楽です。僕は曲の中から主人公を見つけて、その主人公が言っているセリフをイタコのように書き写すっていう作業なんですけど、この曲の場合は、JUPITER(木星)をグルグルまわっている木村氏のイメージがすぐに浮かんだので(笑)、その彼の憧れやなんかを書いただけです。
motsu:この『VOCALOID2 Lily』は、VOCALOID1のころからm.o.v.eの想いははじまっていて、最後のきっかけになったのはyuriちゃんに子供が生まれる=活動が思う様にできない、ということ。ある意味、その代わりになるものを開発しましょうみたいなところからはじまっていて。そうは言っても、完全にyuriちゃんの代わりにはなりえないので、たとえば、ドラム・マシンも最初はドラマーの代わりにつくられたものだけど、今では代わりというよりも、ドラム・マシンを使ってでしかできないダンス・ミュージックがあるじゃないですか。そういうものをつくろうという認識でやっていて。だからyuriちゃんの代わりって思って聴くと欠如感とか、違和感があってギャップを感じると思うんですけど、Lilyにしかできない未来感やキャラ感を感じてほしいなと思います。
motsu:やってみたいですね。たとえば、同じ曲でも、生のドラムが入っている曲とループが入っている曲があるじゃないですか。それと同じ扱いになると思います。Lilyの良さが、ヴォコーダー扱いになるというか。
motsu:今回Lilyをやったので、次はMoshの“RAPLOID”をやりたいですね。既存のVOCALOIDを使ってもできるんですけど、どうしても機械っぽさが出ちゃうんで、もうちょいリアルな感じでやれるように模索中です。これは、結構面白いことになりそうなので、期待していてください。
INTERVIEW:Shinji Takemura
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