PANG

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7月7日、日本を代表する女性レゲエ・アーティストのひとりPANG(パン)が6枚目のフル・アルバム『LOVER BEAT』をリリース! 彼女独特のゆる〜い楽曲から、今までにない新しい楽曲まで幅広く収録され、さまざまな曲調や声の表情を楽しめるバラエティ豊かな作品が完成!!


 デビュー当時の“5枚のアルバムを出す”という目標を上回る、6枚目のアルバムがリリースされますが、そのことに対する感想は?

PANG:アルバム1枚を出すのが、どれだけ大変かわからない頃に立てた目標だったんですけど、リリースするたびにスタッフやファンの方など、自分を支えてくれる人たちがだんだんと増えて、それとともに力になるものも増えてきた中で、5枚っていうのは、自分で自分が“成長できたな”って思える区切りでもあったんです。そこから次をどうするかって考えた時に、曲をつくって歌うことに変わりはないんだけど、今回はこの5年の間に得た自信や勉強してきたことを上手に消化して、作品にできたなと思っていて、どこかスッキリした自分がいますね。

 今作のタイトルに“PANG 6”と付けなかったのは、5枚目でひと区切りという意味合いから?

PANG:それもありますね。あとは“もうしんどいな”と思って(笑)。『PANG 4(FOR) YOU』とか、『PANG 5☆STAR(5つ星)』みたいにタイトル付けてたんですけど、もう出てこないなと。

 『LOVER BEAT』というタイトルは、すんなりと出てきたんですか?

PANG:決まった時は“これしかない!”と思ったんだけど、そこにたどり着くまで大変でした。スタッフとみんなで何日も話し合ったり、友達にメールしてアイデア出してもらったり。お酒飲みながら話すことが多かったんだけど、そうしたら“インパクト重視!”みたいな空気になって、七夕にリリースだから『七夕からボタモチ』とか(笑)。インパクト重視だから“それでもいいかな”なんて途中までその気になっていたんだけど、写真もせっかくいいのが撮れたし、“それはないだろ”と考え直して。それでいろいろと話し合っていく中で“BEAT”っていう言葉と“愛すべき”っていうキーワードが出てきて、そこから『LOVER BEAT』っていうタイトルが生まれました。でも、今考えると恐ろしいですね。『七夕からボタモチ』になっていたかもしれないと思うと(笑)。

 今作を制作する上でのコンセプトは、何かありましたか?

PANG:毎回、コンセプトはあまり考えないんですよ。あえて言うなら“いろいろ自由にやりたい”っていうところかな。それはつくっていく中でどんどん色濃くなっていったんで、意識してそういう流れにした部分はあります。それと今みんながあまりやってないことをやろうっていう意識もどこかにありました。流行りのサウンドは全然やっていなくて、時代とは逆行していると思うんだけど(笑)、それをあえて今自分がやるところに面白さがあると思っていて。レゲエと言ってもその中にいろんなジャンルがあるから、それを自分がやってかっこよくなるなら、いろいろやりたいっていう挑戦でもありました。

 骨太なダンスホールの「Do the Reggae」を1曲目に持ってきたのも、ある意味挑戦みたいなところがありますよね。

PANG:そうですね。ダンス・チューンを頭に持ってくるのって、私としては珍しいかな。ミニ・アルバムの時に1回あったくらいで。

 この曲をつくった時点から、1曲目というのはある程度見据えていたんですか?

PANG:いや、つくった時点では考えてなかったです。曲順はいつも最後にパズルのように並べ替えて決めているんで。その中で、この並びが一番収まりがよかったんです。曲としては、骨太なところからイントロがドンとはじまって、ちょっとDJみたいなことをやっていて、自分としては新しいスタイルだと思ったんだけど、意外とみんなからは“懐かしいスタイルだね”って言われました(笑)。

 「ここにはいない君へ」は、ブログのリクエストから“失恋した後に聴ける曲”というテーマで制作したそうですが、数あるリクエストの中からこのテーマを選んだ理由は?

PANG:どういう曲をつくってほしいか、みんな理由も添えて書いてくれていたんだけど、その中でひとりの男の子が、“失恋した直後で、自分で曲を書こうと思ったけど全然書けない”って書いているのを読んで、“あ、助けを求められてる!”って勝手に思って(笑)。実際に私が書くことで、その男の子の気持ちを助けてあげられるかはわからないんだけど、自分の中のどこかに触れたんでしょうね。それと失恋の曲は今までにも書いているけど、自分が当事者の立場で書いたことはなかったので、どんなのが書けるか興味もあったんです。だから、この曲もある意味チャレンジ的な部分がありました。

 失恋曲という割には、ドロドロした部分はなく、むしろさわやかですよね。

PANG:失恋して、悩んだり後悔するというよりも、その人のことばかり考えてボーッとしてしまう…胸が痛くてどうこうっていうのが過ぎてしまった後のことを書いているので、ドロドロした部分を感じないんだと思います。それと「SHULABA」で結構えげつないことを歌っているから“2曲もいらんな”と思って(笑)。さわやかな感じにしたかったっていうのはあります。

 「You Know I Love You」では、豪華なコラボを繰り広げていますね。

PANG:PJさんはイベントでご一緒したり、よく飲みにいくバーで一緒になったりして、ずっと気になる存在であるとともに憧れのシンガーやったんです。男の人と一緒にラヴ・ソングを1曲書きたいなっていうのがあって、PJさんにお願いしたら迷いもなく“いいね、楽しそうだね”って言ってくださって、実現したんです。詞は自分の今も過去も含めていろんな恋愛話をPJさんとして、お互いの人間性を知る中から湧き出てきたものを書いた感じで。話していく中で“だから男の人と女の人ってすれちがったり、かみ合わないんだな”っていろいろ気づかされたことを、上手くリリックに反映できたと思います。

 ジャマイチさんやドクトル梅津さんとは、どんな経緯で?

PANG:ジャマイチとは、今までライヴでは一緒にやったことがあったんですけど、レコーディングははじめてで。私の持っている世界観と彼らの持っている世界観が似ている部分があったし、年代が近いというのもあったし、どういう風にアレンジしてくれるのかなって前から興味があって。だからこの曲は、あらかじめジャマイチに頼むことを考えながらつくった部分もあるんです。それで、いろいろと進めていく中で、ジャマイチのドラムの梅ちゃんのお父さんがドクトル梅津さんだって知って、自然な流れで参加してもらうことになったんです。

 「SHULABA」は、浮気相手への恨みつらみをつづった歌ですが、PANGさん的に浮気は絶対NG?

PANG:そりゃOKとは言えないですよ(笑)。ただ、ひと昔前とは考え方が変わりましたね。昔はこの曲の中のキャラクターみたいに熱い女だったけど、たぶん今の私だったら“しゃあないな”って思ってしまうんじゃないかな。だから、これはキャラをつくって、それになりきって歌っているんです。その方が面白いと思うし。でも、実際にこの立場になってみないとわからならいですけど。“ふざけんな、ボケ!”って言ってるかもしれないし(笑)。

 詞の内容もそうですけど、サウンドも今までのPANGさんにない感じですね。

PANG:そうですね。こんなえげつないこと言っているの今までないし、音的には昭和歌謡みたいな部分があるし。渋谷のROOTSっていうクラブでデモをかけて聴いた時に、これ絶対、昭和歌謡と組み合わせたらイケると思って、その日のうちに書いたんですけど、リリックもサウンドも妙にハマりました。

 「通り雨」は“ポジティヴ”という言葉がピッタリくる曲ですが、この曲はどんなところから生まれたんですか?

PANG:去年アルバムをつくっている最中に、プライベートも含めて周りの環境が変わったこともあって、すごく不安になるというか、凹んだことがあったんです。その時に、“悩むとか苦しいってこういうことなんや”って感じて。リリックでも言っているけど、こんな日が来るなんて思ってもいなかったし、それを経験したことで周りの人が言う“苦しい”ってこういうことだったんだって知って。その時に私はすごくもがいたり、あがいたりしたけど、人生なるようにしかならない。それならそれを受け入れよう。そうすれば、いつかいいことがあるからって、思えるようになったんです。どこかにダニエル・パウターの「Bad Day」のイメージがあったんでしょうね。“今日はついてなかっただけ”みたいな。書き方は全然ちがうんだけど、私も同じようなポジティヴ・ソングを書きたいと思って、できたのがこの曲でした。

 「Don’t Stop」は、濃いルーツ・レゲエですが、アルバムに1曲はルーツを入れたいというところから?

PANG:そうですね。前作でもそうやったし、1曲はやっときたいみたいな気持ちはあります。今回は最後1分くらいがダブになっているし、ものすごく濃くてお腹いっぱいになるだろうから(笑)、アルバムの最後にドンと持ってきました。

 ルーツはPANGさんにとって、どんな存在?

PANG:ルーツはレゲエの一番おいしいところというか、醍醐味のようなものを感じさせてくて、一番色っぽい危険な匂いのする音楽って思っていて。自分が絶対に抜けきれない音楽の世界ですね。ラヴァーズも好きなんだけど、それ以上にルーツは好きです。

 リスナーには、このアルバムからどんなことを感じ取ってもらいたいですか?

PANG:毎年こうやって1年に1枚出させてもらっていることもそうですし、待ってくれている人がいることが自分には、すごくありがたいと思っていて。今作は、昔の古き良きサウンドをベースにしているんですけど、自分はその時代の音を生音では聴いていないんです。その私があえてやったら、どう面白くなるかなっていう挑戦でもあったんですけど、これを通じてPANGを知ってもらえるような1枚になったと思うし、レゲエのおいしいところも知ってもらえるような作品になったと思います。テーマ的にもポジティヴなものやラヴァーズもあって、コンピのような感じになっているので、ぜひ1曲目から12曲目まで通して聴いてもらいたいなって思います。

 9月11日には、名古屋のSPIRALでワンマンが決定しましたが、こちらではどんな姿をファンの方に見せたいですか?

PANG:ライヴではいつも“マイペース”と“親近感”っていうのを大事にしているので、等身大のPANGを見せたいです。かっこいいショーを、っていう気持ちはもちろんあるんですけど、それ以上にファンのみんなと同じ目線でありたいし、PANGのライヴに来たことで、また明日から頑張ろうって思えるような楽しいショーにしたいです。このワンマン以外にも夏にライヴがいっぱいあるので、そこでもみんなと一緒に楽しみたいと思うので、ぜひ遊びにきてください。


INTERVIEW:Shinji Takemura


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●ALBUM
07.07 On Sale
『LOVER BEAT』
PANG
CTCR-14667
¥2,300(tax in)

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