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スウィンギーで洗練されたギターワーク、そして“毒と花”の同居した詞の世界観が魅力の次世代ストリート・ミュージシャン、dorlis(ドーリス)。1月27日、自身がリスペクトするアーティストたちをフィーチャーしたニュー・アルバム『swingin’street4』をリリース!


約2年半ぶりのフル・アルバム『swingin’street4』が1月27日にリリースされますが、どんな作品になりましたか?

dorlis:制作自体は、アルバムのリリースが決定してから、アレンジや楽器編成など、細かい部分を詰めていきました。曲に関しては、前回リリースした『swingin’ singin’ playin’』以降、書きためていたストックが中心です。いつもはアレンジが固まってから歌詞のテーマを決めているんですが、今回は作曲の段階から歌詞を付けていって。ただ、メロディからイメージする世界をそのまま描いていくような、裸のものにドレスを着せていくような感じですね。習慣としてつくり続けていたため曲が多いので、コンセプト/テーマという枠におさまることなく、振り幅の広い作品に仕上がったと思っています。

今作では多くのアーティストがフィーチャーされていますが、どのように決めていったのですか?

dorlis:収録したいと思っていた曲がいくつかあったので、その中から“この曲はこのアーティストの方とやってみたい”というイメージをふくらませた感じですね。フィーチャリング・アーティストの方が決まっていくたびに興奮したものです(笑)。なにせ、個人的にも尊敬していて、好きな方々ばかりだったので。

フィーチャー作品とソロ作品では、曲づくりやレコーディングなどの制作過程で、どんなちがいがありましたか?

dorlis:もっとも大きなちがいは、視野の広がりですね。今回、土岐さん、chihiRo、paris match(ミズノ マリ)さんとのデュエットは、歌詞が共作なんです。そのときに、自分では気づかない視点や表現がみなさんにあって、「なるほど! こういう表現があったか!」って。アレンジに関しても、お互いの個性が見事に混ざり合ったと思っています。化学反応というか、ソロでは表現しきれないドラマが成立しますから。

「泣いても泣いても」は、胸がキュンとなるようなリリックと繊細かつ力強いサウンドが特徴的ですが、楽曲制作において重視したポイントは?

dorlis:自分でも何度もキュンキュンしました(笑)。実は、レコーディング前日には、学園ものの切ない片想いの歌詞に書き直していたんです。でも、デモのときに比べて、何か曲の雰囲気に違和感を感じて。それで当日、急遽、デモのときに書いていた歌詞をまとめ直したんです。サウンドは、ストリングスを入れて壮大なバラードにしたい気持ちもありましたが、今回はそうではなくて、新たなバラードの引き出しを発見してみたかった。コトリンゴさんの繊細なピアノが切なく、エレキギターの音色がスパイスをきかせる。歌も、力強く歌うことで、よりドラマチック感を出せるよう重視しました。

「恋の同盟」は、男性に対してかなり上から目線の歌詞で、dorlisさんが表現される“毒と花”全開といった感じの楽曲ですね。

dorlis:もともとは、ひとりのオンナの子が、彼にダメ出しをする設定だったんです。でも、「もしかしてこれ、オンナ同士の会話風にしたら、もっと面白いんじゃない?」って。遊び心に火が付きましたね(笑)。プライベートでも恋愛話やときには毒舌トークもするchihiRoとなら、リアルな世界が出せるんじゃないかとも思ったので。打ち合わせなんて必要なかったです。ただ、「ちょっと、お互いに彼氏のダメ出ししてみない?」って(笑)。メールで届く歌詞を見るたびに笑ってしまいましたね。もう出てくる出てくる、ダメが。レコーディングも楽しかったです。振りまで付けてみたりしましたから(笑)。

「Room305」は土岐麻子さんとリリックを制作されていますが、Room305(305号室)のキーワードは、どのように生まれたんですか?

dorlis:この曲では、まったく別の2つの物語を書いているのですが、その中で物語が複雑に入り乱れないように、共通のアイテムを持たせることが重要だったんです。それで、土岐さんとカフェで打ち合わせをしたときに出てきたのが、“部屋”というキーワードでした。「お気に入りのカフェ?」、「待ち合わせ場所?」、「引っ越した部屋」、「……部屋」、部屋はどうだろうって。彼と別れて引っ越す人、新しい恋を見つけて越してきた人、部屋っていろんな人のドラマが詰まってると思ったんです。そのときに、「鍵って、一番最後まで残るものだよね」という土岐さんの言葉から、一気に全体像が見えたんです。まったく別の登場人物、まっく別の物語が、ひとつに重なりました。鍵が大事なアイテムになっている曲ですが、物語の設定をより理解してもらえるよう、タイトルはシンプルに部屋番号にしました。実際に305号室に住んでる人は、ドキッとしてもらえるんじゃないでしょうか。

「壊れるまでアイシサセテ」は、大人っぽいサウンドと弱い女性の心情を表したリリックのコントラストが面白い作品に仕上がっていますね。

dorlis:ここまで心情をさらけ出した歌詞というのはあまり書かないんですけど、最近やけにリアル心情系を書きたくなるんですよね。それで、Aメロ最初の符割りにハマる言葉をまず探していって。♪あっという間に♪とか、♪そっと〜〜♪とか、いくつかあった中でハマったのが♪ギュッとしがみついたら♪だったんです。しがみつくという表現が、必死な感じがして。必死に生きているイメージが、独身のアラサー女性だったんですね、自分もですが(笑)。ここから、歌詞のテーマをふくらませて、大人の女性の不安ととことん愛し抜く強さを描いてみたんです。歌入れのときは、ヘッドフォンから流れるquasimodeのアレンジ、演奏にかなりライヴ感を感じてました。アルバムの中でも一番ライヴ感を感じられるんじゃないでしょうか。

「さよならのあと」は、タイトル通り、恋人と別れた後の切なくリアルな心情が描かれていますが、ご自身の実体験からの部分が大きいんですか?

dorlis:ウチは、別れた後の開き直りは早いです。未練が残るほど本気の恋をしたことがないんですね、きっと(笑)。だからこそ描けた心情なんでしょうね。自分では経験したことのない恋愛をつくり出したくなるんですよ。メロディができたときに、設定もアイテムもテーマも何も考えずに、ただ曲の切ない雰囲気に合わせて、切なくなるものを書いてみたんです。そしたら、「さよならのあと」になって。当たり前の景色が、当たり前じゃなくなっていることにも気付かないほど、彼のことを思う。こんなふうに誰かを思い続けたことなんてないけど、これくらい愛してみたい、愛されてみたいって思いましたね。

「恋するパレット」は、軽快なサウンドが特徴的で、“女性のみだしなみ”をテーマにした楽曲ですが、このテーマはどんなところから?

dorlis:この曲をparis matchとやることになって、そりゃあ“オシャレ”なイメージが浮かびましたよ! ヴォーカルのミズノ マリさんは、お洒落で品がある女性。サウンドもポップなので、気持ちも華やかになる歌詞にしたかったんです。だから、テーマを“恋する女性のたしなみ”にして、女性の華やかさには欠かせない、メイクやファッションを取り上げたんです。女性がメイクやファッションに気合いを入れるときって、やっぱり恋してるときじゃないですか!! コーラスパートを録っているとき、杉山さん(paris match)の「もっとセクシーな感じで」というディレクションに、気分はマリリン・モンローでしたよ(笑)。

「水平線と夕焼けと片想い」は、胸が温かくなる優しい楽曲で、♪あの子のかき氷横取り 何か意味があったのかな 同じ味にすればよかった♪というフレーズには、片想いをしている女の子のかわいらしさにあふれていますが、歌詞を書く際に言葉選びで重視したポイントはどんなところ?

dorlis:テーマが“夏の海水浴場〜片想い〜”だったので、“海水浴といえばこれ!”という誰もが想像できる情景、片想いを感じるシチュエーションがキーでしたね。純粋な片想いだから、きれいな言葉、表現を並べてしまうと、詩的になりすぎてピュアな部分が伝わらないんですよね。誰もが経験したことのある“片想い”だからこそ、リスナーの方々にとっても、あの日の風景的なリアルな想像をしてもらいたかったんです。だから、海水浴のアイテムをいくつも書き出しては、それにちなんだシチュエーションを考えていって。例えば、バナナボートでどうのこうの、片方なくしたビーチサンダルがどうのこうの、かき氷、海の家、紫外線……、地味すぎるかなって思ったけど、ハマってくれたんですよね。そこにある物こそが、この歌詞では重要だったのかもしれません。でもサビ部分は、本当に難産でした。あそこまでもがいたのははじめてです。

「午前0時のワナ」は、歌詞をリライトされたそうですが、サウンドに引っ張られた部分が大きいんでしょうか?

dorlis:そうですね。サウンドからヒントをもらった部分もあります。もともと曲自体が、INOさんとのコラボをイメージして書き下ろしたものなんです。実際にローズの入ったアレンジを聴いて、いい意味でどこか現実感のない浮遊したイメージを受けたので、できれば歌詞もリアルだけじゃない雰囲気にしたくなったんです。そんなとき、ある人の「ドリさんのファンタジーチックな歌詞も好き」という言葉がヒントになって、アイデアが浮かんだんです。アダルトなサウンドだから、大人ならではの恋愛事情にしてみようって。時間制限付きのわけありカップルですね。それって、0時に魔法が解けるシンデレラと通じるかもと。魔法という言葉がINOさんのアレンジに溶け込んでいって、そこからは一気に物語を書き進められました。

「手と手とって」は、手をつなぐことの大切さ、手をつなぐことによって伝わる思いを歌っていますが、dorlisさんが実際に“手をつなぐことで、こんなことがあった”という体験やエピソードなどがあれば教えてください。

dorlis:手をつなぐことに強い憧れ、希望があるんですよね(笑)。恋人同士の当たり前な行為じゃないですか。自分の中ではそう思っていたんですが、その当たり前を拒否られたことがあって(笑)。「恥ずかしいから」と言われて、手をつないでもらえなかったんです。結構ショックでしたよ。“本当は好きじゃないのかな?”とか、“こんな女だから恥ずかしいのかな?”とか、考えては落ち込んでましたから。それ以来、手をつなぐことに強い憧れを持つようになったんです。別に、汗ばんでても私は平気ですよ(笑)。

「circle」は、もともとはサンバのイメージでつくった楽曲とのことですが、弾き語りにすることで、そのイメージはまったく感じさせず、渋さとセクシーさの出た楽曲という印象を受けました。この曲を元のイメージでサンバ調にリアレンジする構想などはありますか?

dorlis:ライヴではバンド編成でサンバにリアレンジできればな、と思っています。ピアノはモントゥーノで、ベースは時々歌とユニゾンをして、などなどイメージはふくらんでますよ。ただ、弾き語りヴージョンというか、オリジナル・ヴァージョンもすごく気に入ってるので、しばらくは弾き語っていきたいですね。弾き語りってダイレクトなんですよ。弦のこすれる音とか、歌のブレスとか。この曲に関しては、官能的な歌詞が前へ前へと引き出されますから、演奏をするたびに濃くもなっていく。この曲をもっともっと濃くしてみたいですね。

「Girl」は、気持ちを伝えられないまま終わってしまった片想いが綴られていて、こういうことはないようにといった反面教師的なメッセージの込められた応援歌にも感じられましたが、どんなイメージをもとに制作されたんですか?

dorlis:毎回アルバムには学園ものの恋愛ソングを収録しているんですが、「Girl」はどこか懐かしい雰囲気のあるサウンドでもあったし、学園ものに合うかなって。それで、体育祭、冬休み、試験、卒業……、このアルバムがリリースされる頃は、もう卒業へのカウントダウンが近づいている人も多い時期だなって、ふと思ったんです。自分は思いを伝えないまま後悔したという経験はないですが、告白に限らず、テスト勉強や夏休みの宿題を明日明日って引き延ばしていた人も結構多いんじゃないかなって。それで、翌日になって後悔するんです。ちゃんとやっとけば良かったって。歌詞を書きながら、今できることは今やっておかなきゃなって、自分自身も教えられました(笑)。

「始まりのリズム」は、これからはじまる新しい生活への期待感にあふれていて、歌詞から感じるワクワク感と弾むようなリズムがマッチした楽曲になっていますが、このモチーフはどんなところから?

dorlis:これはショッピングモールのCM用に書き下ろした曲だったんです。ショッピングモールって、家族連れが多いということもあって、さわやかな生活感がすごくあるんですよね。そこへお出かけするときのワクワク感をイメージして曲をつくったので、自然と心も身体も踊るswingになってました(笑)。だから、歌詞も明るく前向きなものにしたくて、ワクワクしていて、それでいてちょっと生活感を感じられるテーマを考えたときに、“新しい生活! これだ!! ”って。テンポも抜群にちょうどいいんです。多分これ以上速かったり遅かったりしたら、この心地良さは感じられないでしょうね。

このアルバムをどのように楽しんでもらいたいですか?

dorlis:大好きなアーティスト、サウンドが勢ぞろいしたオムニバスになっているので、いろんな角度から味わっていただきたいです。歌詞、アレンジ、歌い方、フィーチャリング、ピアノのフレーズなどなど……何に重点をおいて聴くかによって、曲の表情も変わって見えてくると思いますよ。

‘10年の抱負をふくめ、ファンの方へメッセージをお願いします。

dorlis:『swingin’ street 4』完成しました!! 今の段階では、これ以上のものはきっとつくれない! 今だからこそつくれたサウンド! そう思えるほど、ベストな1枚に仕上がったと思っています。ひとりでも多くの方に聴いていただきたい! そして、この思いをひっさげて、これ以上ない! と思えるパフォーマンスをライヴ、ツアー、全力でやっていきたいと思います。たくさんのhappy swing☆をお届けします。みなさんもぜひ、一緒にhappy swing☆してくださいね!


INTERVIEW:Hiroyasu Wakana, Atsushi Saneshige


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●ALBUM
1.27 On Sale
『swingin’ street 4』
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¥3,000(tax in)

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