島谷ひとみ

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島谷ひとみが、昨年7月にリリースした『BEST & COVERS』に続く、10周年のアニヴァーサリー作品として、コンセプト・カヴァー・アルバム『男歌II〜20世紀ノスタルジア〜』を1月27日にリリース! 今作に込められた、島谷ひとみの思いをひも解く!!

 約2年ぶりに『男歌』の第2弾がリリースされますが、このタイミングで制作しようと思ったきっかけというのは?

島谷ひとみ:昨年、10周年ということで改めて振り返った時に、カヴァーっていうのは切っても切り離せなせないことだなと感じて。私自身、カヴァーをすることで世の中の人と出会いが多かったから、昔光った歌、残っていくべき歌たちを、次世代の人に引き継ぐ役目をしたいなという願いがあったんです。それで10周年のアニヴァーサリー的なアルバムとして7月に『BEST & COVERS』をリリースしたんですが、節目としてもう1作つくりたいという気持ちが大きくあって。前作をリリースした時に、すごく反響をいただいたことと、異性から届けるアプローチというのが面白かったことが、第2弾の制作につながりました。

 男性ヴォーカルの楽曲をカヴァーするのと、女性ヴォーカルの楽曲をカヴァーするのとでは、どんなちがいがありますか?

島谷ひとみ:私的には、女性の曲よりも男性の曲の方が、声のトーンやアプローチの考え方など、変化をつけやすいですね。ただ、合う曲を探すのが大変で。スタッフと昼間からカラオケ・ボックスに行って、何時間もこもっていました(笑)。その中から女性のアプローチでもいけるんじゃないか、私の声にのるんじゃないかという曲を探し出して。一番難しいのは、キーの音域のちがいですね。声に合わせて、大きく上げ下げするんですが、そうすると原曲の良さが消えてしまうこともあるんです。

 今作には、サブ・タイトルとして“20世紀ノスタルジア”と付けられていていますが。

島谷ひとみ:とにかく曲の数が膨大なので、まずはテーマを決めようということで、“20世紀のメモリー”というか、青春時代を過ごした人たちの今も心に残るストーリーや懐かしさ、初恋など、もう2度と返ってこないけれども、その時代の音楽の力を借りることで、その時の気持ちや記憶の中に戻れると思うんです。それって人にとって大事なことだと思うので、この音楽を聴いて、当時のことを思ってくれたらいいなというところで“20世紀ノスタルジア”というサブ・タイトルをつけました。

 「GET BACK IN LOVE」はジャズ・テイスト、「君がいるだけで」はオーケストラ・アレンジなど、島谷さんが取り組んでいる“crossover”スタイルを感じましたが、アレンジに関して島谷さんからリクエストを出していったんですか?

島谷ひとみ:そうですね。私の方からこういう風にしてくださいっていうのは、結構ありました。私から、この曲がカヴァーにいいんじゃないかって提案した曲は、でき上がりのイメージがあってのことだったので。それと、少し昭和っぽいところを残したかったというか。ジャジーな感じが私は好きなので、そういう風にしてもらえないかっていう相談をアレンジャーの方としました。

 個人的には「君がいるだけで」のオーケストラ・アレンジがインパクトが強かったんですが。

島谷ひとみ:今回の収録曲の中では、この曲が一番大きくひも解いていった曲なんです。結婚式で歌われたりして、ハッピーで幸せいっぱいっていうイメージがあったんですが、歌詞を読み込んでいくと、実は切ない曲で。あの時こうしていたら、こういう風にはならなかったのにって、悔やんでいるんです。カールスモーキー石井さんの歌い回しや人柄が明るくさせていると思うんですけど、裏に本当は切なさが潜んでいるんじゃないかなと思って、オーケストラの悲しい音色にしてみました。

 アレンジする上で、全体的に重視した部分というのは、どんなところでしょう?

島谷ひとみ:“20世紀ノスタルジア”っていうテーマなので、ちょっと儚いんだけど、そこから抜けたすがすがしいところからの風も、全体の雰囲気から感じ取ってもらえるように。それは曲選びやアレンジャーさんにアレンジをお願いする時から意識していました。

 ボーナス・トラックには、シンディ・ローパーの「タイム・アフター・タイム」のカヴァーが収録されていますが、今作に収録しようと思ったのはなぜ?

島谷ひとみ:以前から、なにか洋楽のカヴァーをしてみたいと思っていて、この「タイム・アフター・タイム」を日本語詞で表現しようと取り組んでいたんです。そこで、日本語詞をちょっと異色な方にやっていただこうというということで、石田衣良さん(小説家/『池袋ウエストゲートパーク』、『4TEEN』など)にお願いして。“男性なのに、女性の心がどうしてこんなにわかるの?”っていうくらい、女性の心がわかっている方で、彼の恋愛小説がすごく好きなんです。で、女性ヴォーカルのカヴァー曲なんですが、日本語詞を男性に書いていただいているし、ちょっと異質な面白いコラボレーションだなと思って、このタイミングでボーナス・トラックとして入れさせてもらいました。

 DVDには、ミュージック・クリップだけでなく、昨年10月17日に厳島神社で行なわれたアニヴァーサリー・ライヴの映像も収録されていますね。

島谷ひとみ:ミュージック・クリップは、今作の全体的な世界観やテーマを感じていただけるものになったかなと思っていて、久しぶりに私自身も出演しています。ライヴ映像の方は、私って、歌って、踊ってみたいなイメージが強いんですけど、最近ではこういったジャジーなライヴをやっているので、そこを見ていただこうかなと。それと自分の10周年記念のライヴを子供の時から「大きくなったら歌手になれますように」とお願いしていた厳島神社でできたので、その記念すべきライヴを見てもらえたらなと思いまして。

 ライヴでは全部で17曲披露されましたが、その中から前作に収録されていた3曲を選んだのは意識して?

島谷ひとみ:そうですね。周りの評判や私も含めたお気に入りの代表曲というか、前作ではこういう感じでしたっていうのを知っていただけるかなと思って選びました。同じ曲でもライヴでやってみないとわからないことってあるんですが、この3曲はライヴですごく映えた曲で。あとは、それぞれの雰囲気のちがいがわかりやすいものをいうところで、甘い曲、辛い曲、ホッとする温かいものを選びました。

 今作は、男性なら“こういう風に解釈したのか”とか、女性なら“あ、共感できる”といったように、聴く方の性別によって受け止め方が異なってくると思うんですが、今作からどのようなことを感じてもらいたいですか?

島谷ひとみ:これを聴いて、“あ、久しぶりにカラオケに行きたい、歌いたい”って思ってもらいたいです。それも、ただ歌うんじゃなくて、みんなと肩を組んで一緒に歌ったり、歌っていて、聴いていて涙が出てくるような、昔を振り返るようなきっかけになってほしいです。人も時間も立ち止まることなく、毎日毎日前へ進んでいるんですけど、気持ち的に一瞬立ち止まることってすごく大事だと思うんです。今の私がまさにそうなんですが、10年っていう大きな節目を迎えた時に、ちょっと立ち止まって、先をイメージする時間ってすごく必要だなと感じて。このアルバムが、みなさんにとって、立ち止まって過去を振り返るきっかけになったらいいなという思いがあります。カヴァーって賛否両論だと思うんですけど、ちょっと弱々しいとか、切ない曲が多くて、もう少し張りのある曲がほしいって思う人もいるかもしれませんが、なぜそこを避けたのか。この“20世紀ノスタルジア”っていうことの意味として捉えて、雰囲気を味わっていただけたら、うれしいなと思います。


INTERVIEW:Shinji Takemura


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