東京60WATTS

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L to R:佃太郎(g)、大川毅(vo)、森利昭(dr)、大山敦史(b)、杉浦琢雄(pf)

東京60WATTSが、昨年1年間をかけてつくり上げた結成10周年を記念するニュー・アルバム『nowhere』が、1月27日にリリースされた! 山川浩正(THE BOOM)をプロデューサーに迎え、改めて音楽と向き合った末に完成された本作について、ヴォーカル・大川毅にインタビュー!!


 今作にはプロデューサーにTHE BOOMの山川さんを迎えていますが、どんなことがきっかけだったんですか?

大川毅:同じ事務所の先輩で、同じスタジオを使っていたので、よく顔を合わせていたんです。で、ある時“キャンプに行こうか?”と誘っていただいて、飲みながら相談しているうちに、一緒にレコーディングしてみようってことになったんです。

 山川さんをプロデューサーに迎えたことで、いつもとちがった制作アプローチの仕方などはありましたか?

大川毅:今までは、作曲者である杉浦のピアノのフレーズやリズムがまず最初にあって、それを支えていくというやり方が多かったんですけど、山川さんが入ったことでまずドラムの足、それに合わせたベースを、というように下から細かく積み上げていくようなアプローチをしました。ただ、そういうやり方でも、まず歌ありきで考えられていて。歌、メロディにあったリズムを突き詰めていくっていうやり方が、実に納得いくものでしたね。

 ジャズやファンクを取り入れたボーダレスな幅広さをサウンドに感じましたが、サウンドづくりで特に重視した点というのは?

大川毅:“心地よさ”ですね。“ここのギターがガツンとくる!”とか、“このドラム・フィルがいい!”とかではなく、ひとつひとつのトラックに意義があって、それが重なり合って全体の雰囲気をつくりだしているっていう。派手さはないけど、歌をよく聴かせるためにみんながいいポジション、役割を果たせていると思います。もともといろんな音楽を聴いて育ってきた趣味がバラバラな5人なので、みんなが曲に合わせて、いろんな引き出しを出してくるんです。

 制作過程で楽しかったことや苦労したことなどはありましたか?

大川毅:気持ちのいいリズム・トラックが録れた時は、かなりテンションが上がりましたね、やる気もどんどん湧いてくるし。そこに音を重ねていく過程は、楽しくてたまらないです。今回は打ち込みも結構入れていて、新しい試みがいっぱいあったので、バンド・サウンドだけでは得られないグルーヴを感じることができたので、それもまた楽しかったです。

 タイトルの“nowhere”には、“どこでもない”という意味だけでなく、“now here=今現在の場所”という、もうひとつの意味もあると思いますが、このタイトルに込めた思いというのは?

大川毅:バンドを結成する時に、メンバーの間で漠然と“こういう音楽をやろう”、“こんな曲をつくっていこう”っていうのがあって、そのコンセプトの延長で3枚目までつくったんですが、そこで貯金を全部使い果たしてしまった気がしていて。そこで“じゃあ、この後どうする?”、“俺たちどこへ行くんだろう?”、“何か変化しなきゃいけないだろう”っていう感覚が多少あったんです。だけど、結局自分たちが結成当初から共有しているものにブレはないし、もう長いことやっているので、変化は改めて意識するまでもなくしているだろうと。“これまでとちがう”とかじゃなくて、自分たちが今やりたいこと、今つくりたい音楽をやろうということになったんです。それが誰でもない、“自分たちの音楽”になるんでしょうね。

 大川さんの書く詞は、情景が目に浮かぶストーリー性のあるものから、リスナーに問いかけたり、呼びかけるようなものまで、振り幅が非常に広いんですが、詞のインスピレーションは主にどんなところから受けているんですか?

大川毅:それが自分でもよくわからないんですよね(笑)。詞のことばかり考えていても、何も湧いてこないんですよ。だから、詞で悩んだら一度放り投げて、本を読んだり、音楽を聴いたり、人と話をするんです。その中で、ピーンとくる言葉がひとつ浮かんできたら、そこから連想されることを一気に書くっていうやり方が多いです。きっと知らず知らずのうちに、いろんな人の影響を受けているんでしょうね。

 詞を書く上の言葉選びで、大事にしていることはなんでしょう?

大川毅:大事にしているのは、突飛な言葉ではなく、誰もが普通に日常で使う言葉、そこらへんに転がっている言葉を使うということですね。普段、なにげなく使っている言葉に“こんな輝きがあったんだ!”って、聴いてくれる人に思わせたら、してやったりという感じです(笑)。

 「THANK YOU FOR THE MUSIC」では、広沢タダシさんをゲスト・ヴォーカルに迎えていますね。

大川毅:これは一番最後のセッションで録った曲ですね。それまでに録った曲は、時間をかけて練りに練った感じだったんですが、それだけじゃバランスが悪いし、スコーンと抜けのいいライヴ曲も必要だなと感じてつくった楽曲です。歌詞に関しても、あまり深い意味は持たせず、思いついた言葉を悩まずにどんどんのせて、ライヴ映えするようにコーラスもみんなで入れました。広沢くんは、このレコーディングをしている時に隣のスタジオに来ていて、僕が歌入れをしていたら遊びに来たんです。「なんやったら歌いますよ」とか言いながら。で、これは歌ってもらわなかったら逆に失礼にあたるなと思って、オファーしました。ただ、ノーギャラなんで、いつか借りを返そうと思っていて。今度、彼の歌にコーラスを入れにいこうかな(笑)。

 “10周年”という、ある意味ひとつの区切りを終えて11年目に突入しましたが、新たに挑戦したいことなどはありますか?

大川毅:新しいことは、あまり考えていないですけど、今までいっぱいつくってきた曲たちを超える“最高の曲”を早くつくりたいですね。それと、早くこのアルバムの感想を聴きたいです。できれば、ほめてほしいですね。“よくやった!”とか。おだてられると伸びるタイプなので(笑)。あとは、ライヴでひとりでも多くの人と会いたいです。長いことやっているけど、ライヴは今でも怖いし、難しいですね。でも、最高の気分になって、お客さんをひとりひとり抱きしめたくなるんです。僕らの音楽に、ぜひ抱かれに来てください。


INTERVIEW:Shinji Takemura


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●ALBUM
1.27 On Sale
『nowhere』
東京60WATTS
VFCV-00052
¥3,150(tax in)

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