m.o.v.e

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L to R:motsu、yuri

常に“進化”、“変化”を続けるm.o.v.e。約1年ぶりのオリジナル・アルバム『Dream Again』を3月3日にリリース! 昨年8月にリリースしたカヴァー・アルバム『anim.o.v.e01』を経て、m.o.v.eに起きた化学反応とは!?


 yuriさん、遅ればせながら、ご結婚、妊娠おめでとうございます。

yuri:ありがとうございます。20歳でデビューした頃は、漠然と“30歳までには結婚して、BABYがほしいな”くらいにしか考えていなかったんですけど、いざm.o.v.eの活動をはじめたら、目まぐるしく月日が過ぎていって(笑)。目の前にある、やるべきことをひとつひとつクリアしていっていたら、あっという間に30歳になってました。それでも周りの人たちや環境が少しずつ変わっていって、yuri自身も自分の人生をいろんな角度から見て考えるようになったんです。そんな時に今の彼と出会って、困難も多々ありつつ(笑)、泣いたり笑ったりしながら考えて、ある意味自然とたどり着いたのが“今”という感じです。BABYができると、お仕事の面で今までと同じようにはいかず、みんなに迷惑をかけてしまうことが気がかりだったんですが、木村さん(t-kimura)、motsuさんをはじめ、スタッフも喜んでくれて、「新しい未来のために、みんなで協力し合ってはりきって頑張りましょう!」と言ってくれたのが、すごくうれしかったです。とは言っても、今年に入ってからもギリギリまで歌ったりお仕事していたので、そろそろBABYと自分の体に時間と余裕をあげたいと思っています。妊娠したことによって、普段の行動も、もちろん劇的に変わりましたが、気持ちの面で“自分じゃない大切な何か”がいることに、とても不思議な感じがしています。

 昨年8月にリリースされたカヴァー・アルバム『anim.o.v.e01』をはさんで、オリジナル・アルバムとしては約1年ぶりの新作となりますが、今作に込めた思いというのは?

motsu:今回は“大人でエロいアルバム”を意識しましたね。『anim.o.v.e01』で、ある意味“使命のようなもの”を果たしたので、その反動か、自分たちの表現したいことを発散したかった部分があったのかも。それと、『anim.o.v.e01』で他の方の作品をカヴァーさせてもらったんだけど、それはm.o.v.e史上はじめてのことで。それがすごく新鮮だったこともあり、それまで自分たちの中にあった不文律が壊れ、何か新しいものをつくりたくなったんです。構造改革っていうか、政権交代みたいなもので(笑)、事業仕分けでやってみたいことを洗い出した感じですね。

 『anim.o.v.e01』のリリースというのは、今作に大きな影響を与えているんですね。

motsu:すごく影響していますね。詞に関しても、これは自分が勝手に背負っていた十字架なんだけど、アブストラクト(抽象的)であってはいけないと思っていて、常に状況が見えたり、主人公のキャラが立ってたり、そういうことが大事だと思っていたんです。でも、アニソンを見ると、すごく抽象的な作品が多くて、そこにラップをのせる行程で、その美しさのようなものを感じて、“こういうのもありじゃん”って。だから、今回はそういうのをすごくやりたくなって、気持ちよくやらせてもらいましたね。

yuri:歌唱とかには、特に変化はなかったんですが、『anim.o.v.e01』での他のアーティストのみなさんとコラボという面においては、新鮮味もあって、刺激的な作品づくりだったので、今作はそういう経験をふまえた上で、また新たな気持ちでオリジナルの作品に取り組めたというのはあります。

 表題曲の「Dream Again」は、ゲームの主人公に例えて、夢を追いかける大切さ、追い続ける勇気を歌った内容ですが、リリックに“YouTube”や“ニコニコ”、さらには“午前二時のフェニックス”というワードが出てきて、ユーモアも感じさせますよね。

motsu:これはティザー広告みたいなもので(笑)。最近はテレビよりもYouTubeやニコニコの方をよく見ているんで、そういうのが自然に詞に反映された部分はありますね。この曲は本当に気に入っているんですよ。

yuri:私もこの曲は、個人的にシングルにしたかったくらい好きな曲です。

motsu:リフとサビが一緒というパターンって、ダンス・ミュージックの王道中の王道なんですけど、実はm.o.v.eではあまりやっていなくて。「このいわゆるダンス・ポップっていいね」ってyuriちゃんと話していたんです。で、アルバム・タイトルをみんなでいろいろと案を出していた時も、僕とyuriちゃんでこの曲のタイトルをアルバム・タイトルにしたいと強くお願いしたんです。

 「ギラギラ」は、サビで2人の声が重なっていて、珍しいなと感じたんですが。

yuri:過去にもロックなアルバムとかで、ちょこちょこ一緒に重なって歌ったことはあったので、違和感は感じませんでしたね。ただ、言われてみれば、久しぶりだったかもしれません。

motsu:この曲は僕が作詞だけでなく、作曲/編曲も手がけていまして。なので、すげぇ自分アピールの曲です(笑)。2人の声が重なるのは、やりたいなと常日頃思っていたので、これを機会に。2人とも声にギラギラした感じがあって、すごく合っているなと感じていて。欲望コンビですから、2人とも。真っ黒な欲望だけど(笑)。

 「シークレット★キャンディ」は、今までのm.o.v.eならタイトルはストレートに英語にするような気がしたんですが、このあたりも『anim.o.v.e01』を経た変化の表れなんでしょうか?

motsu:そうですね。アニメで好きになってくれた人たちもそうですし、僕が個人的に渋谷が好きなので、109とかで刺さりそうな感じかなと勝手に思って(笑)。周りのみんなからは、「やっぱり英語にした方がいいんじゃない?」って意見もあったんですけど、そこは押し切らせてもらって。「ギラギラ」と「シークレット★キャンディ」は熟考した上での僕の判断なので、みなさんにはご理解いただきたいと(笑)。とにかく『anim.o.v.e01』を経た自分っていうのを、何かで表したかったんですよ。そのひとつが、このタイトルなんです。

 楽曲に関しては、yuriさんの力強いヴォーカルが印象的で。特に今作はこういった曲から優しく歌う曲まで幅広く収録されていますが、そのあたりは制作される上で意識したことなんですか?

yuri:自分ではいつも通り、曲に合わせて歌のトーンや表情をつくって歌っているだけなので、特に意識したということはないですね。

 「VISON」は、今までのm.o.v.eを踏襲しつつ、新しい要素もあって、一番変化がわかりやすい曲という印象を受けましたが。

motsu:言われてみると、そうかもしれないですね。息吸って吐いたらトランスが出てくるみたいなところがありますけど(笑)、大人な、マチュア(円熟)な感じが出ているかなと思います。アニメつながりで来てくれた人たちに、僕らがもともとはどういう音楽をやっているのか見てほしいっていうのもあったし、こういう曲は絶対にやっておかないと、という気持ちはありました。

 「My Decade」はパッヘルベルの「カノン」をサンプリングした曲ですが、これはどんな発想から?

yuri:この曲は、最初に木村さんから「前につくった「Lockin’ On The Sunny Side」のアンサー・ソング的な曲をつくるから、今のyuriくんの心境をそのまま詞にしてみない?」って言われて、私が書いた詞なんです。結果、こういう感じになったんですけど、歌ってみて何か不思議な感じでした。ひとりじゃないような、2人で歌っているような…。かなりお腹が大きくなってから歌った曲だったので、なおさらそう感じたのかもしれませんね。

 motsuさんの語りかけるようなラップやyuriさんの優しい歌声が印象的でした。

motsu:Mother Ninjaでは、こういう感じのラップをやってるけど、m.o.v.eのmotsuとしては、あまり見せてないですね。まぁ、いろんな引き出しを持ってるぞっていうところで(笑)。

yuri:「VISON」では、まさにイケイケなm.o.v.eのyuriっていう感じなんですけど、この曲は、今現在の、等身大の素のyuriなんだと思います。いい意味で攻撃性ゼロで(笑)、無駄に力が入っていない飾らない状態。自分で聴いていても、不思議と穏やかで素直な優しい気持ちになれますし、アルバムの最後の曲としてもピッタリだったなと思います。

 DVDには「創聖のアクエリオン」、「Fate Seeker」のミュージック・クリップと『LIVE TRANSFORM 2009』の未収録映像が収録されていますが、ファンの方からのリクエストに応えた部分が大きいんですか?

motsu:それもありますが、はじめての方に我々はこんなライヴをやってますよっていうのを見せたかったっていうところです。「Fate Seeker」のビデオはyuriちゃんがいない上での撮影だったので、最初は僕もいなくていいかなと思ったんですが、やっぱり誰かはいた方がいいかなと思って。それでyuriちゃんがいない欠乏感がない形ってどういうのだろうって探っていったら、ああいう形になりました。たまには、ああいうちょっと力の抜けたものもいいですよね。

 「創聖のアクエリオン」は、ニコニコ動画でも反響がすごかったですよね。

motsu:ホント、ありがたかったですよね。ネガティヴなものも、ポジティヴなものも全部含めて、うれしかった。何も反応がないのが一番さびしいので、いい意見にせよ、悪い意見にせよ。ただ、個人的にはコメントなしの映像っていうのが、もう逆に違和感を感じますね。地味に感じるというか。僕の中では、ニコニコ動画にあるコメント込みの映像がデフォになっちゃってるんで(笑)。

 yuriさんが産休という形になりますが、今後の予定というのは?

yuri:そうですね。これから少しの間、直接会うことが難しくなってしまうんですが、早くみんなの前で元気に歌えるようにいろいろと頑張ります。なので、それまでは、時間ギリギリまで必死になってつくったこのアルバムを聴いて待っていてください。あ、くれぐれもyuriのこと、忘れないでね(笑)。

motsu:産まれるのはこれからなので、すべてはそれからですよね。yuriちゃんもどちらかと言うとやりたがりなので、赤ちゃんを産んで少し落ち着いたら、すぐに体型戻して頑張りますみたいになるんじゃないかな(笑)。yuriちゃんが動けない間は、僕ができることはなんでもやってやるくらいの気持ちで動こうかなと。


INTERVIEW:Shinji Takemura


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