VOLTA MASTERS

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あらゆるジャンルの音楽からサンプリングし、クラブ・ミュージックへと昇華させるVOLTA MASTERS(ヴォルタ・マスターズ)が、3月10日にリリースされる最新アルバム『Lovers』で、ついにメジャーの舞台へ! 彼の音楽ルーツに迫るインタビューを大公開!!


 音楽活動をスタートさせたきっかけを教えてください。

VOLTA MASTERS:父がギターを弾いていた影響で、自分も子供の頃からギターをやっていたんです。それで、中学の頃にはロック・バンドを組んで、自分で曲をつくっていました。

 ロックというジャンルはお父さんの影響で?

VOLTA MASTERS:いや、父がやっていたのはハワイアンです(笑)。ロックは、その歳頃の男の子が普通に興味を持つところで。ロックと言ってもブルースやロカビリーをやっていて、その流れでどんどんブラック・ミュージックに傾倒していったんです。18歳くらいから横浜のクラブで働いていたんですが、そこもクラブというよりは、黒人の人がブルースやジャズ演奏するようなライヴハウス的なところで。そのバンドのつなぎ目にDJがあって、そこでDJをやるようになりました。

 ギターをターンテーブルに持ち替えた理由は?

VOLTA MASTERS:単純に楽しかったからですね。音楽をつくるのと、DJをやるのはまったく別の次元で、やってみたらとにかく楽しくて仕方がなかった。それで、どんどんのめり込んでいって。ただ、自分の頃にはターンテーブルが自宅にあるような時代ではなくて、ライヴハウスとかクラブみたいなところに行かないと練習もできなかったんです。

 そういった活動を仕事にしようと思ったのは?

VOLTA MASTERS:’96年に自分のレコードショップをオープンしたんですけど、店の仕事の一環として、自分がつくった曲やDJでかけているレコードをリリースするようになって。だから、特に何かきっかけがあったわけではなく、自然な流れでしたね。

 ヴィジュアルの露出を控えたり、“VOLTA MASTERS”というプロジェクト名を使用していますが、これにはどんな理由が?

VOLTA MASTERS:15年前くらいって、手がけているのが日本人というだけで、リスナーは最初からフィルターにかけちゃうような時代だったんで、どんな人間がやっているのか、わからなくするために“VOLTA MASTERS”というプロジェクト名をつけたんです。“VOLTA”ってポルトガル語で“革命”という意味なんですが、うちのレーベルがレヴォリューション・レコーディングっていう名前なんですよ。で、そこの“MASTER”という意味で“VOLTA MASTERS”と。“REVOLUTION”じゃなくて“VOLTA”にしたのは、単純にブラジルの音楽も好き(※ブラジルの公用語はポルトガル語)っていうところからです(笑)。

 インディーズからメジャーへとフィールドが変わりますが、ご自身に変化は?

VOLTA MASTERS:やる内容は今までと一切変わらないんですけど、多くの人やチームの力によって、さらにいいものをつくれるようになったというのは新しい発見でしたね。それとメジャーになることで、より多くの人に聴いてもらえるのが楽しみであり、すごくうれしいです。

 今作を制作する上でのテーマは?

VOLTA MASTERS:最初に出した『Change』というR&Bのアルバムがあるんですが、それの続編というか、歌モノに比重をおいた内容でつくりました。タイトルの“Lovers”というのは、R&Bの甘い感じのアルバムだし、恋人たちに聴いてもらいたいという思いからつけました。

 歌モノの比重を多くしようと思ったのはなぜ?

VOLTA MASTERS:今作の前の作品が、ヒップホップを中心にしたものだったので、それとはまたちがう方向性でいきたいなというところからです。

 大ネタを使ったサンプリング曲もVOLTA MASTERSの魅力のひとつですが、原曲の選び方はどのように?

VOLTA MASTERS:本当に自分が好きなものをっていうところですね。自分は70年代や80年代のソウル、ファンク、ジャズが好きで。クインシー・ジョーンズがプロデュースした作品や、90年代でいうとベイビーフェイスがプロデュースした作品から影響を受けている部分があるんです。クインシーがプロデュースしたマイケルの「ROCK WITH YOU」をサンプリングしているのもそういうところからで、トラックとしては10年前くらいに、すでにつくっていた曲です。

 誰もが知っている曲というのは、あまり意識していないんですか?

VOLTA MASTERS:そういうのはないですね。以前にやった「戦場のメリークリスマス」や「いのちの名前」も自分が好きだからやったっていうだけで。

 言葉は悪いんですけど、趣味の延長線上みたいな感覚というか。

VOLTA MASTERS:まさにそうですね(笑)。『Volta Masters At Work』は、最初アナログでしかリリースしていなかったし。自分がつくって自分でDJとして回せるようにつくったものなんですよ。

 以前にはドラクエからサンプリングしたり、今作にはスーパーマリオをサンプリングした「Hero」が収録されていますが、ゲームも好きなんですか?

VOLTA MASTERS:好きですね。ただ、最近は忙しくて全然できないんで、元ネタがちょっと古いんですけど(笑)。

 サンプリング楽曲とオリジナル楽曲を制作する上では、どんなちがいがありますか?

VOLTA MASTERS:当たり前の話なんですけど、サンプリングは原曲のイメージが強いので、それを崩さず、リミックス的感覚でつくっています。オリジナルは、今まで影響を受けたアーティストやプロデューサーの色が濃く出ていると思いますね。

 歌モノとインスト曲では、どんなちがいが?

VOLTA MASTERS:歌モノは歌に助けられる部分があるので、インストの方がアプローチの仕方としては難しいですね。たとえば、スーパーマリオをサンプリングした「Hero」も、ただやるだけではなく、どうアプローチするかを考えて、“Lovers”というタイトルに合う、メロウなミックスを意識してやりましたし。メロディは一緒なんだけど、原曲とは雰囲気を全然変えてみて、クラブでかけても面白いものをっていう感じで。

 歌モノにするか、インストにするかは最初の段階から決めて制作するんですか?

VOLTA MASTERS:最初に一応、どちらにするか見据えてつくるんですが、自分としてはインストのつもりでつくったけど、歌をのせてみたら良くなったとか、逆に歌をのせようと思っていたけど、そのままでもいいかなって思ったり。だから、最終的に歌モノにするか、インストにするかは、でき上がってから考えることの方が多いですね。

 今作もフィーチャリング・アーティストの方がたくさん参加されていますね。

VOLTA MASTERS:Monday満ちるさんは昔から好きだった方で、ぜひ一緒にやりたいなと思っていて。「Justin’ Love」は以前のアルバムに入っていた曲をさらに進化させたヴァージョンなんです。1773はいつも一緒にやっていて、気心が知れているので、何曲か渡して“やりたいのがあればどう?”みたいな感じで、向こうが気に入ったのをやっていった感じですね。

 ご自身で歌うっていう考えはないんですか?

VOLTA MASTERS:それはないですね。歌はうまいんですけど(笑)。自分は集中してトラックをつくって、歌はその道のプロに任せる。基本的に裏方気質なんで、どうすればそのアーティストの歌が一番良く聴こえるかってことを考えるプロデューサー業の方が楽しいんですよね。

 黒石芽生さんフィーチャーした「Graceful Star」は、全編日本語詞で、新しいですよね。

VOLTA MASTERS:これは今までにやったことがない、はじめての試みなんです。今回、メジャーということで、聴いていただける方の幅が広がるので、今まで以上に伝わりやすいものを試してみようと思って。今作の中に混ぜているのは、挑戦的な意味合いが強いですね。VOLTA MASTERSの解釈での“Lovers”を形にしたアルバムなので、ぜひみなさん聴いてください。


INTERVIEW:Shinji Takemura


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