TRIPLANE

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L to R:Makoto Hirota(dr), Hyoue Ebata(vo & g), Kazuya Takeda(b), Kenji Kawamura(g)

言葉の美学を感じさせるリリック、そして記憶と心に残るメロディを刻み続けるTRIPLANEが、3月10日、ありのままの自分たちを詰め込んだニュー・アルバム『リバーシブル』をリリース! “5ヵ月連続で送るひとつの恋物語”の第5章にあたる本作から、原点に戻った彼らの“思い”と“メッセージ”を受け取ってほしい。


 3月10日に約1年ぶりとなるニュー・アルバム『リバーシブル』がリリースされますが、まずは本作をつくり終えての率直な感想を聞かせてください。

広田周:今回は今まで以上に曲づくりからメンバー中心で制作できたんです。実際のレコーディング期間は短いんですが、去年の4月くらいからいろいろと構想を練っていったんですよね。だから、やっとできあがったという安堵感と、自分たち中心で曲づくりと制作ができた満足感はありますね。

 前作『君に咲くうた』と比べて、音楽性の変化はありますか?

川村健司:まず、ミックスの仕方も曲のつくり方も変わったので、自分たちが思い描いている音はできたんじゃないかなって。今までのアルバムは、歌を聴かせるためにどういう風にするかを考えたり、バンド・サウンドということでヴォーカルの割合が大きかったと思うんです。でも、今回はバンドというものを全面に出したかったので、そういうサウンドにはなっていると思います。

武田和也:あと、今回は最初からスタジオに入って、4人で意見を言い合いながら曲をつくり上げていったんですよね。その部分を考えても、前作とはかなりちがうと思います。

 今作は“5ヵ月連続で送るひとつの恋物語”の第5章にあたりますが、ストーリー上のテーマを教えてください。

広田周:最初は5ヵ月連続企画の終着点としてアルバムがあるという認識だったんですが、制作を進めていくうちに“アルバムを聴かせたい!”という思いの方が強くなってしまって。ただ、第5章のテーマである“TO YOU”という部分は、今回の『リバーシブル』で表現したかった“自分たちの裏も表もないありのままをあなたに届ける”というところで、みなさんには理解してもらおうかと。これがTRIPLANEなんだというのを、最後に届けられればいいなっていう感じになりましたね。

 アルバムを制作する上でのコンセプトは設けたんですか?

川村健司:テーマみたいなものはあまりなかったんですが、自由に好きなことをやりたいって気持ちは強かったですね。

広田周:要するにフラストレーションがすごく溜まっていたと思うんです。今まではちょっと抑制されている気持ちもあったし、歌を中心にきれいなサウンドで聴かせるっていうのがTRIPLANEの目指す方向性じゃないかって、自分たちに言い聞かせながらやってきたので。でも、“やっぱりそれだけじゃない!”っていう気持ちがどんどんふくらんできたんです。それを今回は爆発させてみようって。それがバンドっぽさだったり、荒々しさだったり、いい意味での雑さであったり。それを出していこうというのが、今回のコンセプトかもしれないですね。

 1曲目は去年リリースされたシングル「アイコトバ」、2曲目に“5ヵ月連続で送るひとつの恋物語”の第1章にあたる“蕾”と、TRIPLANEらしい楽曲が続きますが、頭の部分は何を意識して曲順を決めていったんですか?

江畑兵衛:「アイコトバ」は収録曲の中では一番古い作品なので、アルバムの最初を飾るのにふさわしい曲だと思っていました。「蕾」の存在も実は自分たちとアルバムにとってすごく大きな存在で、これからはじまったと言っても過言ではない曲なんです。当初、好きなことをやるなら新しいものに挑戦しよう、今まで発想すらしなかったことをやろうって考えていて。新しいリズム・パターンとか、ベースの提案で曲をつくったりとか、いろいろやってみたんですが、一旦クールダウンしてTRIPLANEらしい得意技っぽい曲でやってみようって思ったんですよね。それででき上がったのが、この「蕾」なんです。曲ができた時に“これって俺たちっぽいよね”って思えたし、イメージの共有の仕方がすごいスピードだったし。これがTRIPLANEだということがわかって、逆に帰る場所が定まったから、その後、いろいろと新しい部分に目を向けることができたのかなって。だから、そういう意味でも「蕾」はすごく核になるような作品だと思いますね。

 3曲目の「キルケゴールからの福音」は、素直に背中を押されるようなリリックが印象的ですが、このタイトルに込めた思いを聞かせてください。

江畑兵衛:これってパッと見よくわからないと思うんです。“キルケゴール”も“福音”もあまり馴染みがないと思うんですが、逆にそういうシュールなタイトルにしたかったんですよね。キルケゴールって哲学者なんですが、歌詞を書くにあたって彼の言葉を読んだ時に、♪君ならもっと上を目指していけるよ♪という歌の最後に出てくるフレーズを言われたような気がしたんです。昔は高いところを現実として見ていたはずなのに、今は夢みたいに感じている自分がいるなって。いや、そうじゃない。実際に自分は目指せるやつだよなっていうのをすごく感じて。“福音”というのは、ほかからもたらされる幸せの知らせっていう意味なんですが、キルケゴールからの言葉をそんな風に受け取って歌詞を書いてみたんです。だから、タイトルの意味は誰にもわからなくていいやっていうくらいの感じでしたね(笑)。

 7曲目の「遠く吹く風」は、情景描写をベースにしたリリックが特徴的ですね。

江畑兵衛:この曲はですね、実は僕の中で“ちょっとやっちまったな”っていう思いが強くて(笑)。要するに、聴く人のことを考えてしまったんです。最初は自分の中に閉じ込めていた思いを吐露していたんですが、その自己満足感が段々と不安になってきたんです。ほかの曲で自分をマスターベーション的に出していたので、いろいろな人に共感してもらえるような曲にしなくてはいけないって思ってしまって。自分だけのシチュエーションだけではなく、たとえば学生が社会に出る時に置き換えられるようにとか、ちょっと考え過ぎたかもしれませんね。もっとパーソナルな歌でも良かったんじゃないかって、今もちょっと後悔しています。

武田和也:でも、この曲は兵衛が入れたいって言ったんですよ(笑)。

江畑兵衛:賛同はあまり得られていないけど、これは絶対にハズせない曲だなって。もしかしたら思い入れが強すぎるのかもしれないですよね。歌詞を書いていて、今回は全般的に守りではなく、攻めることができたという満足感があるんです。そんな中で、“これはちょっと守っちゃったかな”という感じもあるんですが、全体を通してみるとこういった歌詞があるのもいいんじゃないかなって。まだ、実際にライヴで歌っていないですからね。ライヴで歌ったら、また印象も変わるかもしれないです。

 9曲目の「眠れない夜は」は、サウンドの重ね方が今までの作品にはないような感じですよね。

川村健司:最初は結構、TRIPLANEとして全部落とし込めるのかなっていう不安もあったんですが、いろいろ入れられて楽しかったですね。この曲のようなカッティングはいつもリハではやっていたんですが、バンド・カラーに合わないと思って、今まで出さなかったんです。でも、もともとこういう音が好きだったんだなって。世の中に対する反骨精神ではなく、ただ単に音楽が好きだからはじめたんだし、音によって興奮させられるのが自分たちの原点だったんだなって、あらためて感じることができました。

 10曲目の「ロマンチック★ボーイ」は、いろいろな意味で世界観が突き抜けていますよね(笑)。

江畑兵衛:この作品は、純粋に僕の男としてのあり方を書いたんです。世の中には遊び人がいるじゃないですか。そうなり切れない自分と言うか、モテない自分を嘆いているようでもあり、でも美化しているところもある。男女の問題についてデリケートに感じる自分自身というのは、最終的にロマンチストなんじゃないかなって。答えは出ていないんですが、“エッチだな”って思ってもらえるように、あえてそういう表現をしてみました。

 11曲目の「光」は、ライヴの最後に聴きたくなるような“癒し”が散りばめられた作品ですが、そもそも全体を通しての曲順はライヴを意識して決めていったんですか?

江畑兵衛:明確にライヴを意識したわけじゃないんですが、ライヴの曲順を考える感覚でアルバムの曲順は決めていきましたね。この作品ってアルバムの最後の曲を書こうと思って書いていったんです。僕はそのつもりだったし、メンバーもこれを聴いて最後の曲だと感じてくれたし。そういう認識で、この曲はつくっていきました。だから、今回の曲順はみんなで話し合わなくても、自然とわかっていたと思うんです。いつもは割と意見が割れたりするんですけどね(笑)。そういう全体のイメージの共有度合いが、今回はすごく高かったと思います。

 今年の目標ということで、江畑さんからは“やりたい音楽をやって、TRIPLANEというひとつのジャンルを築きたい”という話をうかがったんですが、みなさんにはどのような目標がありますか?

広田周:今回のアルバムは、自分たちがいい意味で好きなことをやらせてもらって、それが評価されることで自信につながると思うんです。やっと4人のTRIPLANEの色を出すことができたと思うから、それをツアーなどを通じてしっかりと伝えていきたいですね。

武田和也:デビューして足かけ6年なんですが、まずバンドとしてやれていることが幸せですね。そして、せっかくこの環境を与えられているので、自分たちがやりたいことを明確にして、その道を突き進んでいきたいと思っています。自分たちらしさが、絶対的なオリジナリティですからね。それが評価されれば、道が開けると信じています。

川村健司:最近、僕たちはどういう方向に進んでいきたいのかを話し合ったんですが、やっぱり王道を行きたいんですよね。王道に乗るのか、もしくは自分たちが王道になるのかって感じです。いろいろな人に聴いてもらいたいし、いろいろな人に評価されたいし、そういう王道のレールに乗っかって、止まらずに突き進んでいきたいと思います。

 このアルバムをリリースすることで、“ひとつのジャンル”は築けたと思いますか?

江畑兵衛:いや、もっとできることはあると思うし、この作品に満足していても反省点はありますからね。あくなき探究心で追求していきたいと思います。今回は確かに冒険でしたけど、自分たちの好きなようにやって、それが評価されることですごく自信にもなったなって。自分たちはまちがっていないという再認識ができたので、TRIPLANEのマネをする人が出るくらいに、さらに上を目指していきたいですね。


INTERVIEW:Hiroyasu Wakana


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