KEN THE 390

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メジャー・デビューから1年半の時を経て、KEN THE 390が待望のファースト・フル・アルバム『NEW ORDER』を4月7日にドロップ! 他アーティストとの数々のコラボも経験し、さらにスケール・アップしたラップを惜しみなく披露した今作への思いを語る!!


 待望のメジャー・ファースト・アルバムが、いよいよリリースされますね。

KEN THE 390:いや〜、すごくいっぱいラップしたなと思っていて(笑)。やっぱりフルだと特別な思いがあるし、メジャーの1枚目だったんで、もう1回ファーストを出すっていうくらいの気持ちで臨みました。内容もそうだし、体制もそうだし。そこを納得いくまで、どうやって持っていくかっていうのに結構時間がかかりましたね。

 “新しい一歩”っていう感じ?

KEN THE 390:完全にそうですね。ヒップホップ・シーンの中では、KEN THE 390っていうアーティストがどんなラップするのか、もうわかってくれてると思うんですけど、大きい世の中で見た時にKEN THE 390ってどういうラップする人かとか、それ以前にラップのアーティストなのかっていうことも、まだそんなに伝わっていないと思うんですよ。だから、“KEN THE 390っていうのはこういうアーティストなんですよ”っていうのを、もう1回ちゃんと再提示するっていうところをすごく意識しましたね。

 タイトルの“NEW ORDER”は、そういう意味を込めてのもの?

KEN THE 390:2つの意味があって、ひとつはそうです。で、もうひとつの意味が、野球でいう選手の“オーダー”みたいな感じで。やっぱりアルバムには思うところがいっぱいあって、1曲1曲の勝負っていうよりも、アルバムっていう“チームで戦うんだぜ!”っていう気持ちがすごく強いんです。全部4番バッターが並んでいたら、もちろん魅力的だし、人気かもしれないけど、チームとしてどうなのかなって思って。やっぱ4番的なシングル曲、翔太とかテルマとかとやってる曲たちの他に、足がすげぇ速いやつとか、守備が超うまいやつとか、そういうやつがちゃんといるからチームとして強いわけで。そういう“チームとしてのアルバム”っていうのを意識しています。

 そのオーダーを組む上で、重視したことは?

KEN THE 390:フレッシュなところっていうのもあるし、あとは競合ですよね。収録した曲の他にも10曲くらいつくっていて、その中でラヴ・ソングはこれ以上いらないなって思ったら、3曲あるうちから一番いいものをとか。“back in the days”的なものも「東京 東京」を入れているけど、昔のことを語った曲なら他にもあって。でも2曲入れるものじゃないから、どっちがいいかなって選んでいて。あとは、アルバムの流れを見た上で決めていきました。

 「I’m Back」はオープニングにふさわしい曲ですね。

KEN THE 390:2年半ぶりに、KEN THE 390でどんだけ勢いのあるラップをするかっていうところで(笑)。もう完全にイントロがあって、それに続く曲のイメージで書いてましたね。勢いもそうだし、アルバムに入る前の自分のラップ感とか、アルバムに対する心構えをまず最初に言っておくみたいな感じで。

 「THE DOOR」は、かなりイケイケな曲になっていますが、これはどんなところから?

KEN THE 390:もともと’10年の頭に配信される曲としてつくったんだけど、年のはじめだし、どんな曲にしようかなって考えていて。去年はシングルでメロウな曲が多かったから、今年はやっぱ“イケイケでいこうよ!”ってなって(笑)。で、リリックを書きながら、フックを思いついた時に、女の子のラッパーがほしいなと感じて。あのトラックに真っ向から勝負できる女ラッパーは、“COMA-CHIしかいないだろ”ってことで電話して、お願いしたんです。

 Baby Mさんは?

KEN THE 390:COMA-CHIがフックを歌うっていう選択肢もあるし、歌わせたら上手いっていうのはわかってるけど、ライヴを想像したらCOMA-CHIが歌うよりも、誰か他の人に歌ってもらって、それを俺とCOMA-CHIがあおってる方が面白いなと思って。で、Baby Mとはライヴで結構顔を会わせていて仲もよかったし、すげぇパワフルに歌う子だなっていうのは知っていたので、“ひとりシンガーがほしいんだけど、いろいろ考えて”って言って、歌詞やメロを一緒に考えてもらいました。

 トラックもヘヴィな感じで、カッコいいですよね。

KEN THE 390:一番イケイケなのにしようってことで、完全にフロアバンガー用につくっているし、すでにDJの人たちに渡して、クラブでもかけてもらっているんです。だから、狙い通りの広がり方をみせてくれていますね。

 清水翔太さんとコラボした「Stay」は、リード曲に推されていますが。

KEN THE 390:Jポップのマーケットでも機能するんだけど、クラブとか、僕が普段ライヴをやっているようなところでもちゃんとパワーを出せる曲にしたいなと思っていて。その両立って、言うほど簡単じゃないから、そのバランスをすごく精査しましたね。翔太とは、前に「Family」という曲に呼んでもらっていて、逆に自分の曲になった時に男性の歌がほしいなと思って、翔太に話をしたんです。最初から翔太とやるのはリードにする気が満々で、2曲くらいつくって、いい方にするみたいな。すごく贅沢な感じでした(笑)。

 制作はどのように進めたんですか?

KEN THE 390:翔太とやるからには、徹底的にいいものをつくりたかったので、ずっとメールでキャッチボールしてましたね、2ヵ月くらい。現代ならではのつくり方です(笑)。そういう意味ではコラボって、以前よりもずっとやりやすくなったなと思っていて。相手が近くにいなくてもできるし、お互いにいろんなことをやりながらでもクリエイティヴィティを担保できて、すごくいいと思います。

 制作する上で、あまり顔を合わせることがないと思うんですが、熱量という面ではいかがですか?

KEN THE 390:そんなに変わらないですね。1回一緒に曲をやっていて、お互いがどういうアーティストかもわかっているから。COMA-CHIやBaby Mに関してもそうだし。知らない人とこの作業をやって熱量を保てるかと問われたら、難しいかもしれないけど(笑)。

 R&Bとラップとの相性の良さを再確認できる曲でもありますね。

KEN THE 390:翔太と「力強くやりたいね」と言っていて。今まで呼ぶのも呼ばれるのも女性の方が多かったから、男性2人でやりたいっていうのがあったんです。それとビート感も完全にヒップホップ・ビートなんだけど、それで直球のラヴ・ソングをやりたいなって思っていて。最近にはない感じの強い曲になりましたね。ヒップホップの土俵なんだけど、翔太の良さもちゃんと出せていて、すごくバランスがいいなって。

 「DUCK ROCK FEVER 2010」は、ライヴの定番曲ですね。

KEN THE 390:ヒップホップの楽しい部分が詰まっている曲ですよね。自分が高校生の時に聴いて、すげぇかっこいい曲だなと感じて、ヒップホップに入るきっかけになった曲でもあるんです。でも、今の時代にはこういう曲があまりないというか、クールですごくかっこいい面はいっぱいあるんだけど、オールドスクール的な楽しい雰囲気を感じさせる曲が少ないなと思っていて。“あ、俺もやりたい”とか、“俺もあそこの仲間に入りたい”とか、そういう空気を与えてあげる世界観みたいなものを、自分がもう1回再提示したいなと思って、今回収録しました。

 ライヴ曲をCDに落とし込むのって、難しいと思うんですけど。

KEN THE 390:作品は作品でしかないので、そこはある程度割り切るしかないですね。本人が来て歌っているんだから、ライヴが一番いいのは当たり前の話なので、作品は作品の良さを追求するしかないって思っていて。でも、それは全然ネガティヴなことじゃないし、逆にそれでCDの方がいいって言われる方がきついでしょ(笑)。CDはスピーカーから流れる手段なんだけど、一番伝わる方法論っていう考え方をしているから、ちがっていて当然だと思っています。

 “2010”とつけているのは?

KEN THE 390:歌詞をまんまじゃなくて、自分なりに少しアプローチを変えてるんで、そういう意味での“2010”。10何年前の曲なんだけど、今、僕のアルバムの流れで聴けば、そんな古く聴こえないでしょっていう意味もあります。

 「DEAR MY ONLY ONE」から、アルバムの流れが変わりますね。

KEN THE 390:ここから一気にメッセージ・モードに入っていくんで、シフト・チェンジをしたかったんです。それとラヴ・ソングなんだけど、他の曲とはちょっとニュアンスを変えて、それこそサザンみたいな曲をつくりたくて。男性の勝手な意見みたいな(笑)。そういう曲をつくりたいなってずっと思っていて、竹さん(竹内朋康)とイチからつくりました。

 「東京 東京」は、内容としては“back in the days”的だけど、ちょっと新しい印象を受けました。

KEN THE 390:“東京”っていう街をテーマにして1曲つくろうってなった時に、ただ“東京、いいとこだよ”って歌うんじゃなくて、東京っていう街を中心に自分のキャリアを振り返るっていう書き方をしてみようかなって思って。ヒップホップ的には“back in the days”みたいに、自分語りみたいなジャンルがあるんだけど、ただ、自分のことだけを語るっていう曲が多くて。僕はそこに“街くくり”っていう要素を足したから、その切り口が新しかったかなって。あと、メッセージを伝える上で「お前がんばれよ」って言ったら簡単なんだけど、そうじゃなくて自分のキャリアを歌って「結果、今の僕はこうなっているよ」って聴かせることによって、何か感じるものが出てくると思うし。それって受け取る側が、そこから“自分はどうしなきゃいけないんだっけ”っていう結論に至るものだから、そういう伝え方をするように書きましたね。

 「東京 東京」が人生をたどっているとすれば、「CHAGE」は内面をたどったような内容になっていますが、この対比というのは意識しましたか?

KEN THE 390:アルバムの流れとして、完全にメッセージ・モードに入っていることもあるし、あとは見方を変えたり、自分で面白いと思う方に行った方がいいよねっていうのが、すごくヒップホップ的な考え方で。アルバムには1曲、そういうのを必ず入れたいなと思っているんです。それを今のヴァージョンでどうやって落とし込んでいくかって考えてつくったのが、この曲なんです。

 でも、そういう見方を変えるのは、やろうと思っても難しいことだと思うんですが。

KEN THE 390:それをどう伝えるかは、伝える側次第で。このアルバムで言うと、前半の「続・超・ラップへの道」や「AFRAと390」、「DUCK ROCK FEVER 2010」っていうオールドスクールな部分を楽しく歌っている人間が、「東京 東京」で自分の道筋を歌って、そこで最後に「CHANGE」や「HEY BOY」を歌うからこそ響くというか、意味があると思っていて。タイトルの話に戻るんだけど、そういう意味での“オーダー”っていうのもあるんです。並びで聴くからこその良さっていうか、アルバムにはそういう良さがあると思うんですよね。

 DVD付き形態もリリースされますが、DVDははじめてですよね。

KEN THE 390:そうですね。なんで入れなかったんだろ、シングルに(笑)。でも、アルバムでまとめて聴かせられたので、一気に観てもらうのもありですね。ホントは「続・超・ラップへの道」とか「ONE DAY」も入れたかったんだけど、ちょっと容量がね(笑)。でも、これをきっかけにしてYouTubeで観てくれたらうれしいですね、フリースタイル動画とかもいっぱいあるし。あとライヴ映像を入れたのは、自分はやっぱりライヴ・アーティストなんで。“みんなに来てもらいたい!”っていう気持ちを一番わかりやすく伝えるのは、映像を入れることなのかなって思って、入れました。今作は、すごいラップ・アルバムができたんで、先入観なく聴いてもらえれば、みなさんが持っているラップのイメージよりは絶対届きやすいと思うし、より伝えることができる内容になっていると思うんで、ぜひ1度聴いてみてもらいたいなと思います。それでライヴに来てくれたら、一発でロックする自信があるんで(笑)、よろしくお願いします。


INTERVIEW:Shinji Takemura


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