やなわらばー
L to R:石垣優(Yu Ishigaki)、東里梨生(Rio Aizato)
11月7日に結成10周年を迎えたやなわらばーが、3年ぶりとなるオリジナル・アルバム『ゆくい歌』を11月3日にリリース! 自身の生まれ育った沖縄県石垣島に対する、今だからこそ感じる思いをコンセプトに、今後を見据え、原点回帰を図った最新作!!
石垣優:ありがとうございます。11月7日が結成日なんですけど、実は最近までそのことを知らなくて…。
東里梨生:自分たちは、結成日を“はじめて2人一緒に人前で歌った日”ということにしているんですけど、それって専門学校時代のオーディションの日のことなんです。ただ、その日にちまでちゃんとは覚えていなくて。
石垣優:スタッフさんに“それって何月何日なの?”って聞かれたんですけど、自分たちも“いつだろ?”みたいな感じで(笑)。
東里梨生:それで学校の先生に電話して確かめて、そこではじめて“11月7日”っていうのを知ったんです(笑)。
石垣優:それが10周年を迎える1ヵ月前くらいで(笑)。だから、アルバムが結成日の直前にリリースされたのは、本当に偶然だったんです。
東里梨生:この3年間の中で、CD1枚を出せる重みや大切さ、そういうのを本当にすごく感じて。リリースがなかったからこそ、わかったこともたくさんありました。
石垣優:この3年の間に、2人でどこを目指していくかっていう話をいっぱいして、10年の中でも特に濃い期間でした。すごくいろいろなことを考えたんですけど、支えてくれる人たちがいる限り、難しいことを考えるよりも、いい歌を歌うってことを追求していくことが、今の自分たちにできることなんじゃないかっていうところにたどり着いて。そこからは、難しく考えてモヤモヤしていた心が晴れて、いい曲をつくろう、いいライヴをやっていこうってなりました。
石垣優:3年間ですごくたくさんの歌をつくったんです。今までのファンの人が聴くと、驚くようなジャンルの曲まで。そういうのもアーティストとして世に出したい、歌いたいっていう気持ちはあったんですけど、振り返ってみると“10周年”というのがあったし、まずはゼロに戻ろうよって。素直な自分たちを出していこうって決めたんです。そこから今後につながる自分たちを出していこうと。
石垣優:ありますね。ただ他の方の曲っていうだけでなく、本当に誰もが知っているような名曲ばかりだったので、カラオケになっちゃいけない、どう自分たちのものにして歌うかっていうことを心掛けて。たとえば歌詞にしても、改めて読み返して、その歌詞に書かれた心境などを自分と重ねて振り返っていったりして。その経験や考えた時間っていうのは、曲を新しくつくり出していく上で、ものすごく影響しました。
東里梨生:今回のアルバムの中に「少年」という曲があるんですけど、このメロディは今までの自分たちのオリジナルにはないテイストで。それはカヴァー・アルバムを出して、自分たちの新しくできる幅というか、“やなわらばーでこういう曲もできるね”っていうのを知ったからこそ出てきた曲だなと思っています。
東里梨生:この曲は本当にマイナーな感じがする曲なんですけど、自分たちの位置づけとしては“やなロック”(笑)。一時期、こういう曲ばかりつくっていたんですけど、その中でもこの曲はすごく引っかかった曲で、カッコよくできるんじゃないかって思っていたんです。それでギターの弾き方とか、すごくイメージがわいてきて。歌詞も今までとちがって、やなわらばーとしてはじめて陰の部分を出した曲になっていて、今の歳になったからこそ歌えることだなと。
石垣優:人間らしいと思うんですよね。陰と陽があるっていうのが。自分たちも、いつも頑張ろうって前を向いて歌っているんですけど、やっぱり自分の中に“汚いな”とか“卑怯だな”って思う部分は持っていて。それを隠すと言うか、見せないようにしてやっていくのは、人間味がちょっと足りないんじゃないかなと思ったんです。これからは、こういう部分もいろいろと歌っていきたいと思ったので、まずはそのひとつとして、こっそりアルバムに入れました(笑)。
東里梨生:この曲は20歳くらいの頃につくった曲で。自分たち自身、存在すら忘れていたんですけど、スタッフさんが“こういう曲いいんじゃない?”って発掘してきてくれて。
石垣優:自分たちとしては、“そういえば、こんな曲あったね”って感じだったんですけど(笑)。
東里梨生:これは本当にもう、沖縄の飲み会そのままですね。誰かが三線を弾きはじめたり、まるで我が家のように冷蔵庫を勝手にあさり出したり。私の家が、いつもたまり場にされるんですけど(笑)。でも、冗談とかじゃなく、本当にそんな感じで。私たちが内地に出てきたばかりの頃、島とか三線の音が恋しくなって、島人(しまんちゅ=沖縄出身の人)で頻繁に集まっていたんです。そういう空気をそのまま出したくて、レコーディングの時に、急に島の先輩を呼んで、指笛を吹いてもらって、ノリでそのまま楽しく録りました。途中で囃子が入ってくるんですけど、今後ライヴでやる時には、お客さんに一緒にやってほしいなと思ってます。
東里梨生:石垣島に基地はないんですけど、それでも自分たちは沖縄出身なので、物心ついた頃から実際の戦争の映像を授業で見ていたんです。その衝撃って大人になった今でも忘れられなくて。戦争や平和っていうのは、答えを出そうとすると、あまりにも難しい問題なので、そういう映像とかを見ていても、これまであえて“戦争”というものに触れてこなかったんです。でも、“平和”って大きく考えるから難しくなってしまうけど、“この人に幸せでいてほしい”とか、“この人と明日も一緒にいたい”とか、そういう小さなことも“平和”なんだってことに気がついて、まずは自分の身近にある感情から見ていけたらいいんじゃないかなと思ったんです。
東里梨生:あくまでも自分たちの考えなので、共感してもらえればうれしいけど、もちろん反論もあっていいと思うんです。いずれにせよ、その人が“平和”について、何かしら考えたことになるので、タイトルもそのままストレートに「平和の歌」にしました。THE BOOMの山川さんにアレンジしていただいているんですけど、アレンジでもストーリーをつくってもらっているし、より歌詞の意味が深く感じられるようになっていると思うので、“本当に身近なところからなんだよ”っていうのが伝わればなと思います。今回10周年ということもあって、今まで触れなかったことにも触れてみようという意味と、原点回帰の意味も込められた楽曲ですね。
東里梨生:アルバムのタイトルの“ゆくい”には、“休憩”とか“ひと休み”っていう意味があるので、心を落ち着かせたい時に聴いてほしいなとは思います。ただ、毎回、“こういう風に聴いてください”っていうのは強制したくなくて。聴く人それぞれ考え方がちがうだろうし、聴く時の感情も悲しい人もいれば、うれしい人もいると思うので、その時に感じるままに聴いてもらえればなと。自分たちの気持ちももちろん込めているけど、聴く人の気持ちが入って、はじめて曲が完成すると思っているので、聴く人に自分の曲にしてもらいたいです。
東里梨生:サポートの方が10人くらい入ってくださるんで、かなり豪華なものになるかなと。
石垣優:山川さんがバンマスを務めてくださるんですけど、音が厚いのが好きな方なので、打ち合わせをするうちに、サポートの方の人数がどんどん増えていって。
東里梨生:ギターが2人いるって聴いて、“じゃあ、自分は何もやらなくていいのかな”みたいな(笑)。
石垣優:三線もいるので、私も弾かなくていいのかなって(笑)。
東里梨生:まぁ、それは冗談としても、普段はほぼ2人だけでやっているので、いつもとちがったやなわらばーを見せられるかなと思います。もちろんアルバム以外の曲もやる予定なんですけど、ちょっと期待を裏切ってみようかなと思う部分もあって。その辺は、当日のお楽しみにとっておいてください。
石垣優:12月24日って、みなさん本当に忙しいと思うんです。平日だし、普通は家族や恋人と過ごす日なので。でも、その大変な時期にみなさん足を運んで来てくださるわけだから、いつまでも思い出に残るような時間にしたいと思っています。いろいろ考えていますけど、どれだけ歌に思いを込めて、それを感じてもらえるかっていうのを一番重視しながら、ライヴをしたいなと思っているので、ぜひ足を運んでください。
INTERVIEW:Shinji Takemura
●ALBUM
11.03 On Sale
『ゆくい歌』
やなわらばー
AKCY-58087
¥2,800(tax in)
★やなわらばー
http://www.ya-na.net/(PC・携帯)
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