Half-Life
L to R:福島有(dr, vo)、岡村健人(b, vo)、上里洋志(vo, g)
昨年12月にメジャー・デビューを果たした3ピース・ロック・バンドHalf-Life(ハーフ ライフ)が、epシングル「Many comes, many past.ep」を4月7日にリリース! Half-Lifeの新しい一歩となる、今作に込めた思いを聞いてきた!!
岡村健人:単純に“楽しかった”っていうのが大きいですね。やっている時は長く感じたけど、振り返るとあっという間で。初のフル・アルバムを出して30カ所まわったんですが、時間的に10曲全部できないから、セットを絞ってやったんです。そうしたら“あの曲も聴きたいんで、また来てください”とか、行く先々で言われたのがすごくうれしかったし、成長できた3ヵ月だったと思います。
福島有:ツアーを通して、気をつけたテーマが、“1本やるごとに成長していく”こと。夜な夜な自分たちで運転して、会場に行っているので、“疲れた顔を人前で見せない”。それと、いろんなところに行くんで、“食べ過ぎて太らない”(笑)。そういうところを目標にしながらやりました。
岡村健人:そうです。年明けてから、すぐにレコーディングやったんで、年明けた感もなく(笑)。一応、年末にカウントダウン・ライヴをやったんですけど、ツアーは、はじまったばかりだったし。3月10日のファイナルが終わって、ようやく新年を迎えられた気分ですね。
上里洋志:「city talk」はそうですね。ライヴでもやってない、自分たちでゼロからつくる新曲という意味で挑みました。ツアーをやりながら、ギリギリの状態みたいなところもあったんですが、いい意味でそのギリギリ感を出せたと思います。あとの2曲は「BASEMENT」が1〜2年くらい前、「butterfly」は有くんが入りたての5年くらい前の曲です。
上里洋志:3曲とも全然ちがう色合いが出ているんですが、それぞれのストーリーが一貫して持っているものとして、ドロドロとした状況から抜け出した時に見える、かすかな希望というのがあるので、この選曲になりました。
岡村健人:ジャケット・イメージが3人とも“交差点”っていうのがあって、タイトルもその言葉にしようと思ったんですが、直訳はしたくなくて。それで『second narrow』という僕たちの集大成を置いてきたという意味で“past”、僕らも何かをもらえるという意味で“comes”というところから、今回のタイトルになりました。
福島有:アルバムを録り終わって、ツアーの前に合宿をやったんですけど、曲をたくさんつくらないといけない時期で、行き詰まってもいたんです。そんな中で、洋志がたまたま弾いたリフがめっちゃ良くて。そこからこの曲をつくりはじめたんです。
上里洋志:3人が3人の主張をいいバランスでやっていくのがHalf-Lifeのいいところだと思うんですけど、今回はつくるにあたって、3人ともがやりたいことを詰め込み過ぎてしまって、1度ボツになりかけたんです。そこで僕らとしては、余計なものを削ぎ落とすというか、はじめて引き算の作業をやったんです。
岡村健人:1回レコーディングまでしてから、“これじゃダメだ”ってボツになってしまって。自分の中では1度完結したところからの作業だったので、葛藤がありましたね。なんでここを変えなきゃいけないんだって思うんだけど、スタッフの言うこともわかるし。
福島有:自分らがやり過ぎてしまって、たとえて言うなら、めっちゃ速い車にガソリンをガンガン送り込んだら、実はそれが軽油で、車が走らん、みたいな感じかな(笑)。で、1回それを抜き出して、メンテナンスしてきれいにして、ハイオクのガソリン入れたら、めっちゃ走り出したみたいな。かっこいいと思っているものでも、やり過ぎたら逆にかっこよくなくなるっていうのがわかりましたね。
上里洋志:3人でじっくり相談しながら煮詰めたり、スタッフから話を聞いてつくり上げていったので、自分たちの成長につながりました。
福島有:疾走感は絶対にほしかったんですよ。首都高のイメージというか、走り抜ける感じをやりたくて。自分が車に乗って聴いていたら、どんどんスピードが上がるような曲っていうのかな。基本的に全部一緒のリズムなんだけど、窓の外の風景が変わるように、どんどん展開が変わっていく。その絶対の疾走感を心掛けましたね。
岡村健人:ほとんどこいつ(上里)が書いてきて、僕はホントにBメロ1行とかだけです(笑)。
上里洋志:今までの歌詞の書き方と、自分の中でのギャップをつけたくて。この歌詞を書こうと思ったきっかけが、「2ch」で。はじめて僕らのスレッドができたんです。今まで、そういうのは見なかったんですけど、「2ch」などインターネットの世界に興味を持つようになって。すごい罵声の飛び交いあいや、エグすぎる言葉の交わし合いが行なわれているのを見て、すごく共感した部分と、それに対する反発心の両方が出てきたんです。日常で生活していて言えないことを、この仮想空間で文にしあって、誹謗中傷したり、それに対して諭したり。普段言いたいことを言えずに、それを何にして出しているのかっていったら、僕はそれを歌にして出していて。表現の仕方はちがうけど、思っていることをちがうもの置き換えているところに共感したし、そういうところから、もっと直接的なところに向かうというか、全部否定するんじゃなくて、もっと人間の体温に近いところまで一緒にいきたいという思いからつくったんです。
上里洋志:これは最初に僕が弾き語りで持っていったんですけど、時期的に3人とも落ち込んでいた時期で。本当に上手くいかない毎日が続いていて、そんな時に他の人たちはどういう歌をつくっているんだろうって考えた時に、全部が世の中のせいだとか、誰かのせいにして逃げ出している曲が多いような気がして。こんな世の中はホント終わってますとか。でも、こんな世の中に僕らは生まれてきたわけで、“じゃあ、その世の中で、どう生きていかなきゃいけないか”っていうのを歌おうと思ったんです。与えられた環境と自分のヴィジョンだけで世の中を悪く言うのは良くないと思ったし、与えられた環境の中でどう生きていくっていう方が重要なんじゃないかなって思って。ちょっと攻撃的なところもあるんですけど(笑)、内面は本当に落ち込んでいたんですよね。
福島有:洋志が最初に持ってきた時に見て、こういう歌詞の内容がはじめてだったので、めっちゃいいやんって思ったんですよ。ただ、超大作すぎるなと。最初は今の3倍くらい歌詞の長さがあったんです(笑)。
上里洋志:あ、そうだったね。下手したら12〜3分くらいあるような曲だった(笑)。その中で、上手くバンドのサウンドとして、ひとつのスマートな楽曲としてつくっていくために、そこでもそぎ落としたね。
福島有:この時は下手したらバンドやめるんちゃうかと思うくらい、3人ともすごく凹んでいて。僕は絶対ドラムだけは自分で考えてたんですけど、その時はそれもできんくらいで、健人がドラムマシンで遊んでいたのが、“それ、いいやん”って採用になって。
岡村健人:逆に、この曲のギターのアウトロでいきなり変わるところがあるんですけど、あれはドラムの有くんがギター弾いて、“これにしよう”ってなったんで、変な感じだったよね、つくり方が。
福島有:その時、3人で家におって、僕はソファで寝転がっていたんですが、それを聴きながら、“めっちゃいい曲やな、これ”って思って、目がウルウルきてましたね(笑)。
上里洋志:内面的な部分というか、僕個人としての人間の内面がたぶん、Half-Lifeの楽曲の中では一番出ていると思います。
岡村健人:“昔”ですね。全編英語詞の曲って、バンクーバーにいた頃につくっていたもので、今はまったくつくっていないんです。そういう部分で“昔”という意味で。以前に1度デモで出しているんですが、今回改めてそれを聴いて、今聴いても全然色あせないというか、“全然いけてまっせ!”ってなって、今の俺ら3人でやったら“どれだけすごいものができるか”っていうところから録り直したんです。
福島有:5年前の曲が全部使えるか?”と言ったらそうではないけど、この曲は絶対いけるやろと。5年分、僕らがやってきたことも絶対に成長しているはずで、一緒のことをやっていても出ている音はちがうんですよ。聴き比べると、自分たちでも、“こんなことができるようになっているんだ”っていう新しい発見もありました。
岡村健人:「J-POP」は僕らの曲の中でも、歌詞の力が一番伝わる曲だと思っていて。音源としても出せたんだけど、ライヴで僕たちが実際にやっている空気感をまず伝えたいというところがあったんです。たまたま映像に撮れるというのもあって、今回パッケージにしようと。思惑通りにいい映像が撮れたので、ぜひ期待してほしいですね。
岡村健人:聴いてもらって、好きになってもらえたら、すごくうれしいし、ライヴにも来てもらいたいっていうのが一番大きくて。来てもらえれば、それ以上に好きにさせる自信があります。
岡村健人:地元は、はじめてなんで、わからないですね。どうなるか。
上里洋志:でもさぁ、ちょっとうれしいんじゃない? 地元で、高校の時から出ていた場所でやるわけだし。僕は出身がちがうけど、そこでワンマンをできるって胸を打つものがあるよね、きっと。
福島有:GRINDHOUSEっていうライヴハウスでやるんですが、もともとJITTER BUGという名前で。リニューアルの記念ワンマン・ライヴでもあるんです。今まで高校の時にやっていたハコの名前が変わってしまうのは、ちょっとショックなんですけどね(笑)。それがツアーのスタートなんで、徳島の人は…
全員:絶対集合(笑)。
INTERVIEW:Shinji Takemura
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